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騎士の訓練への参加は自由だった。
よく見れば令嬢の姿もチラチラと見える事から、散髪をせずとも良かったのかも知れない……いや、オレが求めているのはダイエットのための運動ではなく、ドラゴンをも退治出来るほどの強さを身につける訓練である。
「では、頼もう!」
気合を入れて挑んでみれば、それは単なる基礎的な運動だった。
確かに訓練を始める前には十分過ぎるほどの基礎体力が必要不可欠だから、それは別に良い。けど、まさか準備運動だけで終わるとは思ってもみなかった。
せめて剣の素振りとかさせてくれても良いんじゃないか?それに、折角無駄に広大な中庭があるんだからランニングをしない手はないんじゃないか?
これならまだフィンと一緒にやっていた訓練の方がきつかったぞ?それなのに、周囲にいる坊ちゃん達は息を切らせてしまっている。
騎士見習いのノータスは流石に体力があるようで物足りないって顔をしているが……凡そ半数の生徒がバテてしまっている中で訓練続行させるわけにもいかないのだろうな、騎士訓練はそこでお開きとなってしまった。
これが授業ならばバテていようとも訓練続行されていただろうに……自由参加の訓練は、クラブ活動と言うにも甘過ぎる。
今まで大事に育てられてきた貴族にとっては、これでも厳しい分類に入ったりするのだろうか?
恐ろしいな。
「ノータス様凄いですわ、少しも息が上がっていないのだもの」
嬉しそうにナナが言い、ノータスの顔にハンカチを当てて汗を拭っている。
あまり吸水性がないのか、それともハンカチでは間に合わないほど大量に汗をかいているのか、ナナの行動には大した意味がないように見えるが……恋愛発展イベントだと思えば、まぁ、重要なのか。
俺には恋愛イベントなんて物はないから回りなど気にしなくて良い。
魔法で出した水を頭から被ってクールダウンさせた後は袖口でグイグイと顔を拭いておしまい。
後は動き足りないから中庭でも走ってこよう。
「お疲れ様っした。明日もよろしくお願いします!」
騎士達に頭を下げ、フィンとスティアを無視して中庭に向かう。
無視をしたのは別に腹癒せとか機嫌が悪いアピールとかじゃなくて、そうした方が良いんだろうなって思ったから。
ナナとノータス、そして周囲の人間達の反応からなんとなく分かったんだ。
平民だと思われているのはナナじゃなくてオレなんだって。
動作もナナの方が優雅だし、光属性。疑う余地などなかっただろう。




