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ドラードがオレに核を埋める切っ掛けはフィンにあった。
なら、岩を落としたのもその一環だったのか?
「魔力を封じることは出来なくても、さっきみたいに攻撃できるんだ、良かったな」
とんだ弱点をつけられたものだよ。
絶対に取り外す方法を見つけてやる……オレを無力化しようとして核を埋めたくせに、魔術師の誓いだのなんだのとよく言えたもんだ。
「攻撃するつもりはなかった!風魔法を使おうとしてたから、その魔力を相殺しようとしたんだ」
と、腕立てをしながらドラードが言う。
確かに後数秒もあれば風魔法で飛び去っていたんだろうから、慌てて魔力をどうにかしようとしたって説明には頷ける。
「で……催眠術について何か分かったのか?」
ナナマジックのメカニズムが知れたら、少しは安心してエイリーンは生きられるだろう。
「かかる時はいつの間にかかかっている。でも、解ける瞬間があるんだ」
と、腹筋をしながらセミオン。
ナナマジックが解ける瞬間……オレが恋愛イベントを先取りした時だけじゃないのか。
「どんな時に解ける?」
単純に意中の相手との恋愛イベントとか?アフィオの場合のスティアとかみたいな……。
「神殿に行った時、魔塔に行った時、強い魔力を扱う授業の時」
おっと……それは予想外だ。
「強い魔力を浴びるか使うかすると無効化すると?」
それなら何故カワさんはナナマジックにかかったままなんだ?
「光属性だ。光属性に触れると解ける」
へぇ……それ逆じゃないのか?
ナナマジックは確実に光属性なんだからー……そうか、ナナマジックにかかっている状態が通常なのか!
少し確認してみよう。
「催眠術にかかっている時とかかっていない時で考えていることは違うか?」
「あぁ……俺は術にかかった時は守るべき筈のナナを煩わしく感じる……」
あ、やっぱりそうなのか。
「僕は、かかった時はナナを仕えるべきお嬢様だと感じます」
えっと、スティアはこっちなのね。
「俺は時々思ってもいないことが口から出るだけだ」
だけって……それ結構なことだと思うぞ?
でも思考は正気を保ったままなのは、他と比べればマシなのか。




