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ゼゼラとドラードが首都に出発するのを見送り、スティアがアフィオと合流するのを見届けた後、オレはベルノーズと共に山歩きをしている。
鬱蒼と生い茂った場所に出現したハザマの形跡を探る為……とかではなく、図書館に向かっているのだ。
何故図書館なのか、どうして首都ではなく山奥に図書館があるのかというと、ハザマから出て来た物を保管している図書館が他の国の干渉を拒絶するかのような山奥に建てられているらしいから。
その上、トランに住んでいる者が全員“異世界語”を理解できるという訳でもないようで、中にはハザマの存在を知らない者までいるのだそうな。
だとしたら、トランでも異世界語ってのは珍しい分類の入るのだろう。
つまり、オードゥスにもハザマが出現している可能性は十分にある筈で……でも古代語の研究機関まであるのに全く解読が進んでいないことに少しばかりの違和感が……あぁ、だからそれはストーリーに関係があるんだって。
古代語解読の鍵をナナが握っているから、ナナが古代語に関係のないルートに入っているうちはオードゥスでの古代語解読も進まないんだ。
そんなヒロイン縛りのないトランでは、特に研究員という訳でもなさそうなベルノーズが普通に解読できている。
「……タロウ、ちょっと良い?」
前を歩いていたベルノーズが立ち止まって回れ右してきたから、オレも立ち止まるしかない。
でも、もしここが広い道で、更にはオレが図書館までの道のりを知っていたとしても、今と同じように立ち止まっていただろう。
「どした?」
何か少しでも気になることがあったのなら教えて欲しいし。
オレ達が合流する前の雰囲気とか、何が起きたのかとか色々とさ。
「……タロウもクルスも皆クロとカワを警戒しろって言ってるよな?確かにカワは俺達をオードゥスに連れ戻す魂胆だしハイポーションなんて無理矢理飲ませようとして来てるから俺も異論はない。でもさ……」
どうしたんだ?
もしかしてカワさんに賛同できるようになってきた。とか言い出すんじゃないだろうな?
そうだとしたら軽くナナマジックにかかっている可能性があるぞ。
「……でも、なに?」
ここにきてベルノーズまで敵になるなら、ハザマまで案内してもらうのは諦めた方が良いか?いや、完全にかかる前にとりあえず図書館までは案内してもらおう。
歩き出す様子はないが……。
「クロは違うと思う。クロはカワからアフィオを離す為に彼方此方行ってるんだ。それに、ちゃんと毎日連絡くれてたんだ」
え?あ、そっち?
まぁ、オレもクロさんはナナマジックにはかかってなさそうだなーとは思ってたんだけど、何の疑いもなくカワさんの味方をすると思ってたから敵認定してたんだよ。
「連絡をくれていたってことは、今はないのか?」
確かスティアが毎日アフィオの場所を検索して様子も見に行ってるって言ってたよな?毎日連絡がー……あっても一応確かめに行くのが普通か。
「ベルノーズのプレートキーチェーンはクルスに破棄されたから、今はない。俺から連絡しようとしても見張られてて……下手な動きが取れないんだ」
見張られている?
なるほど、ベルノーズとの連絡に古代文字を使って正解だったようだな。




