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魔法学校の正門前で行われているクラス分け実力テストの様子をよくよく観察してみれば、貴族と思われる人間は皆必死に、または自信満々に攻撃魔法を繰り出している。
魔法攻撃を受けている教師が怪我をしても構わない。そんな意思を感じさせる勢いで、そしてそういう人間はなんの審査もなく1組に選ばれた。
対して平民と思われる人間は自信が無さそうで、教師が怪我をしないようにと手加減している様子が見て取れた。
中には攻撃魔法を態と外して撃っている者まで。
貴族は両親からの強い圧力を受け、家に恥ずかしくない行いをするようにとの教育を受けている。こんなサルのオレだって侯爵家令嬢としての行いをーとか言われてるんだから、真っ当に貴族として暮らしてきた者達は平民とは背負っているものが違う。
この世界には魔物がいて、魔王がいる。
魔法学校がある理由は魔物や隣国との戦いになった時の人材育成なのだから、クラス分け実力テストの的が生身の人間である事はかなり重要だったんだな。
ようは、イザって時に人間相手でも攻撃が出来るのかどうかを見られている。
「私、3組になろうかしら」
生贄に選ばれたいから、高い魔力保持者である証明として1組になる事は必須だと思ってたけど、攻撃出来るのかどうかが審査対象なら別に3組だって構わない。
エゲツナイ位強力だけど攻撃魔法ではない。そんな魔法を使えば済む話だ。
一応霧属性って事になってるから、使える魔法は風と水だけ。それで攻撃ではない強力魔法と言ったら……暴風雨か、属性の名の通り霧を発生させるか……霧の発生条件ってなんだっけ?
えっと、まぁ……ミスト?細かい水飛沫をウワーってやればブワーってなる、かな?
それなら氷の檻を作ってあの教師を閉じ込める方が現実的か。大掛かりだし、派手だし、それでいこう。
「お嬢様が3組なんて、駄目です」
スティアの不安げだった表情が一転し、強い意志を感じさせる目がオレを真っ直ぐに見ている。
「駄目って、なんで?」
至極真っ当な疑問にも拘わらず、スティアは少しばつが悪そうに俯き、恐らくは言葉を捜しているのだろう、自分の足元を熱心に眺めてから顔を上げ、
「僕も1組になれるように精一杯やります」
と、オレの質問には答えず、自分の意気込みを言ってきた。
だけど、僕も。と言うのだからオレにも1組になって欲しいって思いは伝わってくるし……まぁ……オレも精一杯やるとしよう。




