2
少し遠くに見える桜の木。
本当ならば早く正門を潜り抜けてしまいたい所なのだが、クラス分けの能力テストが門前で行われているので順番待ちをするしかない状況だ。
門を潜ればそのまま説明会の行われる広間に集められるので、自由に行動出来る時間は余り無い。
だとすると、オープニングはないのか?
折角描いたのに、見られないのか……。
まぁ、現実世界にオープニングもエンディングもないんだけどさ。
「あ、あの……お嬢様……僕はどうしたら……」
順番待ちをする事しばし、隣にいるスティアからそんな質問とも呼べないような問いかけがあった。
見てみればかなり身を小さくして居心地悪そうにしている。
しかし、何に対して悩んでいるのかは分からないので答えようがない。
「なにを不安に感じているのかしら?」
初めての学校、初めての寮生活が目前に迫っているのに不安を感じない方が可笑しいのだろうが、安心して欲しい。スティアはこれから主人公に出会い、それはそれは素晴らしいリア充な生活が待っているのだから!
いや、まぁ……それは主人公がスティアルートに入ればの話なんだけども……。
それを思うとスティアは主人公と同じ2組になるべきなのかも知れない。
乙女ゲームとしての設定が覆るのかどうかを確かめたいからって巻き込むのは、実は物凄く非道な事なのかもな。
「だ、だって、見てください。1組に決まる方は皆貴族ですよ!?」
そう言って正門を見るスティアにつられて見てみれば、確かに1組の所には上等な服装をした人間が多い。
「平民が1組になってはいけないってルールでもあるのか?」
「ないと思いますが……その……」
貴族様よりも優れていたら目を付けられる。と?
確かにありそうな話ではあるか……例えば親父みたいな人間なら、自分よりも優れた平民がいたら、裏でも表でも盛大に足を引っ張っるのだろうし、事故に見せかけた攻撃なんてのもしそうな勢いだ。
って……あれ?
エイリーンが主人公に嫌がらせをする理由って、もしかして、そういう事?




