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家庭教師が帰り、執事がオレを連れ戻しに来る前にスティアと今後について話し合う事にしたので、フィンに執事の足止めを頼んだ。
不当な扱いを受けても尚、スティアは父親を庭師の師として尊敬している。それは以前に、父のような庭師になりたい。と語ってくれた言葉で感じた事だ。
あの時のキラキラとした瞳は印象的だったな……。
「私は、貴方が一緒に寮に入ってくれないのなら、庭の花の根が腐り果てるまで水をまき続けようと思う程には攻撃的ですのよ?」
もし本当に庭中の花が腐り果ててしまえば、庭師であるスティアの親父さんは確実にクビとなるだろう。これは庭師としての自分の親父を尊敬している心優しいスティア少年にとってはとても効果的な脅し文句だ。
「……僕は、お嬢様がどんな暮らしをしているのか……詳しくは知りませんが、それでも閉じ込められている事は知っていました。なのに……なんの助けにもなれなかった。僕は、お嬢様に一緒にいたいと思われるような人間じゃありません!」
おや?
なんだか様子が変だ。
オレが話しかけただけで兄弟姉妹の母親達から注がれる白い目を見た筈だろ?だから、この屋敷に住んでいるうちはオレの事など無視しているのが常識で、それが正解なんだ。
エイリーン自身もそう思って絶望してたんだから、間違いない。
けどそれはこの屋敷にいる間の話。
魔法学校に行くまでの話だ。
「オレは寮に連れて行くつもりでいる。嫌か?」
スティアは無言で少し考え込んでいた。
ギュッと唇をかみ締めながら、拳を握りながら。
きっと、頭の中ではグルグルと色んな思いが渦巻いているのだろう。それを声に出してくれても良いのに、自分で考えて答えを出そうとしてくれている。
オレは黙ったままスティアの判断を待っていたが、やがてフィンの守りが破られ執事が入ってきてしまった。
執事の表情は険しく、有無を言わさぬ勢いでオレの腕を掴んで自室と言う名のオリの中に戻そうと引っ張ってくる。
なんて間の悪い執事なんだ?
「それでは、また明日にお話ししましょう」
オレは執事に掴まれている腕を振り払う事もせず、返事は明日までに考えておくように。との思いを込めて挨拶をしたのだが、スティアの答えはこの時には決まっていたらしい、パッと顔を上げ、
「お嬢様と一緒に行きたいです」
って言ってくれたんだ。
あぁー、なんか、もう。悪役令嬢らしく格好良くスティアを連れ去る事が出来たら簡単で良いのになぁ。
これにて「見習い庭師と仲良くなったよ!」という内容の第2章完結です。
第3章からは魔法学縁生活がスタートします!
今後もお付き合い頂けると嬉しいでござるますってことですわっ!




