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辺境地の村にも神のお告げがあった事を知らせるニュースが届いたのは、落書きをしてから1か月ほど経ってからだったが、村はそんなお告げうんぬんよりも毎日の食糧確保の方が重大なので皆古代文字?フーンみたいな反応しかなくて、あっという間に話題に上がらなくなった。
そんなオレだって、ラクガキをした当人だってのに特に興味もなく、毎日毎日守り神の巣に行ってる。と、いうのにだ!何故にまだ1度たりとも対峙出来ないんだよ。
もはやあの窪みが巣なのかも怪しくなってきたわ。
とか思った所で他にそれらしい箇所がないし、神殿からの道を進んだ先にある窪みだし……そうなると、岩山に住んでいるのではなくて生贄の日にだけ何処からともなく現れると考えた方が自然だ。
どこから?
他の国は単なる背景だったんだから、そこから来る可能性はないし、他の国から来ている魔物がこの国を守ってるってのも可笑しな話だ。
って事は、真面目に毎日毎日国中を回ってパトロールをしてるのか?
だけど、そうだとしたらパトロール中の守り神を1度でも見かける筈。
ステルススキルでももってるとか?にしてもだ、人を踏み潰せるだけの巨体なのだから音は隠せないだろ。
生贄の日にだけ現れる設定なだけで、本当に存在している訳ではない、とか?
それだと本当に5月まで待たなきゃならないのか……まだ12月だってのに。
12月……ストーリーだと冬期休暇がある頃か、後はクリスマス……クリスマスみたいなイベントもあるのだろうか?
収穫祭の時みたいに大地の女神の呪い的なものがあったりするのだろうか?
参加しないのだから心配する必要も……待てよ?収穫祭の時は手作りのお菓子を相手に渡して、告白の返事っぽい台詞を言うだけでもアウトだったんだから、クリスマスには誰にも会わずに引きこもっていた方が良いかも知れないな。
それこそ、守り神の巣に1日中避難していても良いかも知れない。
「……ふふ」
ラスボスの巣に避難って、可笑しな話しだ。
クリスマス、大晦日、正月と守り神の巣に住んでみようかな?
「おーい、ホークさんに古代文字研究の人が会いに来てるよー」
壮大なお泊り会の企画をたてていると、1人の村人が黒ローブに身を包んだ2人組を案内する感じでやって来た。
オレにって事は、古代文字が読める人物だと疑われている感じか?なんにせよ何も知らないで通す他ない。その上で何故オレの所に来たのかってにも探りを入れないとな。
「オレに客なんて珍しい……外は寒いでしょう、どうぞ中へ」
と、一応物語に出てくるモブ中のモブ村人っぽく警戒心低めに家の中に招き入れ、薄い薄いお茶を出し、話しかけられるまで黙っておく。
本当ならさ、フードくらい取りなさいとか言ってやりたいところなんだけど、村人よりも研究者の方が身分は物凄く上なんだろうし?黙っている方が良いのかなーって。
しかしだ、この2人のうちのどちらかが隠しキャラクターである可能性もあるんだよな……。
「これを、見てくれないか?」
やっと喋った男がテーブルの上に1枚の紙を置いたので、どうせオレが書いたラクガキなんだろうと手にしてみてみれば、魔法学校の実力テストが行われた建物内で見つけた「俺参上!」の方だった。
何故今ここでこっちを出すのだろうか?まさかあの場所から見つかったマウスをオレが持っているとバレ……てる訳ないよな。
あの場所にいたのはエイリーンであってホークではないのだから。




