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買い物の護衛が終わって村に帰った後は、弓を射るふりをして風魔法を使って獲物を捕まえサラリと依頼をこなし、夕飯を食べた後はおやすみなさい……。
な訳がない。
MPの回復薬であるマジックポーションをポケットに忍ばせ、魔力で出した鎧を身にまとった後はあちらこちらの町や村に行っては教会の屋根にある天使の像の足元に「古代文字を読める者は、青い髪と赤い瞳を持っている」と書いた。
それはプラガット領に留まらず、国中の町……と言う訳にもいかず。
夜明けの時間が近付いたところでお開き。
王都付近まで足を伸ばす事は出来なかったが、問題はない。屋根にある天使の像の足元だ、そうスグには見つからないだろう。
2日……3日位に国中にある教会全ての像の足元に同じ文字を書ければいい。
それを思えば、今日1日でプラガット領を網羅出来たのは中々の好スタートじゃないか。
日の高いうちに隣の領内へ移動しておけば効率が良いから、明日からは冒険者の依頼をしにいくよーって感じで家を空けよう。
翌朝、オレは村のギルドで適当な討伐依頼を受け、村中の人からのお使いを頼まれて村を出発することに成功した。
流行りの服とかアクセサリーとかじゃなくて農具を頼まれるとは……そこまでプラガット領の技術は遅れている……な、うん。
何だか知らないけど切れ味が悪いし、バランスも悪い。こうなると王都で鍛冶職人を1人スカウトして村に連れてきた方が手っ取り早いか、それとも村にいる職人を王都で修業させ……たらその間村が持たないか。
行ってきますとジャンプしながら出発し、完全に村が見えなくなった所で普通に飛んで移動を始めた。
王都までの道中にある町や村にも上空からお邪魔して、こっそりと教会の屋根にある天使の像の足元に落書きをして、そしてこっそりと上空からお暇する。
そうやって同じ文字を落書きしながら移動して、王都に着いたのは夜も遅くなってからだった。なので農具を売っているようなお店は閉店済み。
少し彼方此方行き過ぎたようだ……勿体ないけど宿をとるか、それとも王都よりも向こう側にある町や村を回って落書きをする……しかないな。
ならマジックポーションの買い足しをしておこう。
「いらっしゃい」
道具屋に入って回復薬が並んでいるコーナに行けば、そこにはよく知っている2人がなにやら真剣に薬を選んでいる所だった。
チラリと2人の視線がこっちを向いたのを感じたけど、幸い気付かれてはいないようだ。
ホークの姿は知られてないから大丈夫だとは思うんだけどさ、身長も誤魔化す為だけにシークレットブーツ仕立てだしな!それにプレートキーチェーンの小細工もしてるし……けど、念には念をって言うし、気を付けよう。
そういえばドラードは魔術師の誓いをしてオレの中に魔力の核を入れてる状態だったな。
魔術師の誓いは相手の中に魔力の核を入れることで、それはどちらかが死なない限り有効……ってことは、エイリーンが生きているとはバレているのか。
よし、ここはさっさとマジックポーションを買って店を出るのが正解だ。
パッと3個の薬を手に取ってカウンターに置くと、店員はオレの顔?ヘルムをジッと見たまま精算してくれない。
「なに?買うのか?」
おぉっと……なんか面倒臭い店員だな。




