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地魔法も使えるとバレてしまったので、後は大工の男のアドバイスに従ってチャチャっと屋根の修理をして、次は牧割り。
これ位ならば魔力を使わずとも簡単にできるんだけど……オレって一応令嬢なんだよな……オノを振り下ろす姿がさまになってて良いのだろうか?
ねぇ?エイリーン。
「……」
今日も今日とてエイリーンは無言だ。
さてと、次は町までだな。
単なる荷物持ちとして付き添うのはもちろん良いんだけど、いざという時の用心棒も雇えないほど生活が切迫してるなんて……侯爵様はなにやってんだ?
村だけじゃなくて町ですら発展してないのに、自分は贅沢な暮らしが出来るって根性だけは素晴らしいわ。
それとも、村がこんなにも貧しいのは頻繁に魔物が襲ってくるから?
いやいや、この国をそういうのから守るためにいる守り神の巣があるプラガット領で何が起こるってんだよ。
しかし、今はアレコレ考えるよりも頼まれたことを片付けるのが1番かな。
「狩も頼まれたから夕方までには帰りたい」
隣を歩く依頼主の女性に断りを入れると頷いてくれたので、遠慮なくおんぶしてダッシュした。
本当ならば飛んで行きたい所ではあるんだけど、一応魔力は弱い設定だから走るだけ……と、時々跳びあがって障害物を避けるだけ。
急いでいる時に、例え弱いとは言っても魔物の相手などはしてられな……あぁ、守り神のお膝元でも普通に魔物は存在してたわ。
町や村を直接襲ってくる事はないけど、街道を行きかう商人などは冒険者の用心棒を雇わなければ危険なほど頻繁に襲われてるじゃないか。
だとしたら、プラガット領の発展の遅れは街道の整備が不十分だからか?
それともギルドが過疎っていて冒険者が集まらないせいか……そう言えば警備兵も少ないな。
踏み潰されエンドになってエイリーンがいなくなる世界のことなんか考えた所でってやつなんだけどさ……エイリーンが存在した証みたいなのが残せないかな?
そんなの、今後古代文字を解読できる人物が現れると想定して、守り神の巣とか教会とか神様の像とかに日本語で落書きすれば良いだけだな。
エイリーンは聖女とか、守り神の生贄になったエイリーンは唯一の古代文字を解読できた人物だったとか、なんかその辺。
プラガット侯爵領にだけラクガキが集中しても不自然だから、彼方此方に行ってそれっぽい所に書きまくってみようかな。
どうせなら同じ文面を広範囲に渡って、できるだけ数日のうちにバーっと書いた方が予言とかお告げって感じがするよな?
既に解読できる人物がいる事も想定して、エイリーンって名前は出さない方が良いか……。
だったら……。
町に着き依頼主が店の中に入った事を確認した後、一応変装の魔力で出した鎧を身を覆ってから飛び、教会の屋根にある天使の像の足元に落書きをした。
「古代文字を読める者は、青い髪と赤い瞳を持っている。っと」
これでよし。




