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何故かどうしても冒険者になりたいと駄々をこねたベルノーズが冒険者登録を済ませるまで待ち、それから大急ぎで王都に行きたい気持ちはあったんだよ。
だけど、よくよく考えてみればオレは今日、プラガット領と王都を往復してんだよな。
ギルドでメガネを回収したり、レアイベントを起こそうって王都で無意味な買い物をしたり。だから魔力もつきかけてるし、一気に眠気が襲ってきた。
「ちょっと寝てから出発する。冒険者登録は、好きにしてくれ」
そう言いながらベルノーズを部屋から追い出し、鍵をかけた後ソファーに寝転がる。
今日はよく動いたな……お疲れ、エイリーン。
ウトウトと眠りに落ちる瞬間、こういう時に見張ってくれる門番なら欲しいかも知れないな、なんて思って、自分の甘さに少し笑ってしまった。
グッスリ眠って体力とMPを回復させれば、外は朝をとっくに過ぎた昼時になっていた。
王都に行ってベルノーズをナナに会わせてやろうとか、その後の反応によって倒しやすくなるとか、ドラードとかノータスとか順番に倒すぞー!とか寝る前は勢い立ってたけど、もし本当に攻略対象者に手を出すのなら、もう少し頭を使った方が良いだろう。
タロウの姿で不意打ち攻撃って言っても、王都の町の中じゃすぐに捕まってしまうだろうし、王太子を手にかけようものなら、攻撃しようとした瞬間討たれるのはこっちだ。
セミオンはなんとかなったとしても、問題はアフィオの付き人であるゼゼラ……あいつはきっとノータスよりも強いだろう。
下手をすれば全員が一丸となって立ち向かってくる危険もある。
ん?
光属性のヒロインと攻略対象者が一丸となって倒す相手って、それもう魔王じゃん!
え?オレってちょっと魔王っぽい思考になってたって事?
あー……確かにそうだな。
自分が守り神に踏み潰されての来世期待エンドか、ヒロインと攻略対象者皆殺しエンドか……なんにせよこの世界はエイリーンにとっては生き辛いし、第一姉の作った乙女ゲームの中ってだけでも不幸だったな。
よし、昨日考えてたことはMP枯渇ギリギリの極限状態なうえでの寝不足による妙なテンションって事で白紙に戻そう。
ならベルノーズはどうするかな……。
よし、こっそり逃げてしまおう!となれば窓から飛んで出発した方が良いな。扉の鍵を開けておけば鍵を受付まで返しに行かなくても……良くはないんだけど、今回だけ許しておくれ。
カコン。
かけていた扉の鍵を開けて、窓まで移動したら飛んでおさらばー……。
バターン!
「タロウ、おはよう。出発はいつ?今すぐでも俺はいけるぞ!」
ビックリした!
え!?鍵をあけた音に反応して入って来たのか?
って事は、廊下で待機してたのか!?
「あー、うん。おはよう。えっと、オレはちょっと準備があるから」
圧倒されかけた勢いになんとか抗い、オレは窓を開けるとそのまま飛び出して逃げるように街を後にしたのだった……。
「準備ってどこまで行くんだー?俺暇だから付き合うー」
そんなオレの下では、こちらを見上げながらとんでもないスピードで走るベルノーズ。
走るっていうか、大きくジャンプしながら移動している感じだから、間違いなく風魔法だな。
これはちょっと一旦落ち着いて作戦を考えた方が良さそうだ……。




