16
どこを目指したら良いのかが分かったので、オレはベルノーズに勇者御一行様方の子孫が住んでいる場所を訪ねてみて、振り出しに戻されていた。
まさか、まさかだよ……勇者一行の子孫、ケリーの実家を最後に全滅してるとはね!
ってことは、魔王はまだ封印から解き放たれてはいないけど、勇者もまた不在って感じか。
そこへ勇者と同じ光の魔力を持ったヒロインが登場……ナナマジックにかかっていなくても魔王の恐ろしさを知っている者ならちやほやして当然の状況だな。
「あ、あの……なにか、失礼なこと……」
いいましたか?
もー!
「始めからそうだよ!最後まで喋ろうか!」
それはそれで可愛いのかも知れないし、そういう需要があるのかも知れない!だけども!こうして対面して直接会話をしている立場から言わせてもらうと、不便でしかないから!
「さ、最後まで……?」
無意識と申すかっ!
いや、落ち着こう……それはベルノーズのせいじゃなくて、そういうキャラクターに設定した姉のせいだ。
とは言っても会話が不自由なことに変わりはないから改めて欲しい所。それがナナとの出会いを遠ざけてくれる可能性……は、ないか。
何をどうした所で、どうにもならないんだからオレはエイリーンの名前も、キヨタカの名前も捨てたんじゃないか。
もう今世は諦めて、来世で自由になろうってさ。
オレの私物探しも守り神が出て来るまでの時間つぶし。
なら、ここでベルノーズがどんな喋り方をしていようと、ナナを冒険者にしてしまおうと、実はそんなに大したことではないのかも知れない。
ただ出来ることなら今世ではもうナナの顔も攻略対象者達の顔も見たくないってだけで。
まぁ、ベルノーズも攻略対象者の1人なんだけどさ。
「はぁ~」
攻略対象者じゃなくて、守り神に会いたいわ。
「な、何故溜息……」
はぁ~。
「溜息を?なに?」
「え?えっと……何故溜息を……吐く……ですか?」
なんか後半物凄く考えながら喋ってたけど、なんだか少しおかしいぞ?
最後まで発音しないんじゃなくて、出来ない……なら聞き取ることも難しいわな。もしかして、わざと喋れないふりを……してどうする。
まさか、単なるあがり症とか?
それとも、聞き取りもちゃんと出来ている訳ではない?
「溜息を吐く理由については、溜息をつく理由と同じく、呼吸の際に溜まった空気を吐き出す事によって少しでも緊張感を緩和させる行為に過ぎない訳だが、溜息を吐くのかどうかと聞かれるのはいささか吝かでないない所存が抜本的な候」
さてどうだ?言葉がしっかりと分かるんなら全く意味のない事を長々と喋っただけだが、あまり理解できていないなら物凄く難しいことを言っている風な文字列攻撃。
「……あ、えっと……もう少し、ゆっくり……」
ゆっくり聞けば理解できるとお考えのようだ。




