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約束の時間よりも10分程度遅刻した家庭教師は、挨拶もそこそこにオレ達の顔を眺めながらなにやらメモを取り始めた。
何を書いているのかを問おうにも話しかけられる雰囲気じゃないから黙っておくしかない。
「得意とする魔法を見せて頂けますか?」
しばらくしてメモ帳とペンを置いた家庭教師は、非常に良い胡散臭い笑顔でそう言った。
どうやらこれは魔術の授業らしい。
「あ、じゃあ僕から……」
スティアの一人称、次は僕?
安定しないな……人によって使い分けてるのか。じゃあ好感度が高い人の前だと俺、なのかな?
私と僕、どっちがより好感度が低いんだ……なんて考えるでもなく私が1番低いんだろう。って事は、今日始めて会ったこの家庭教師よりもオレは嫌われていると言う事になる。
ふふふ……悲しいじゃないかよ。
スティアは窓辺に立つと下に広がっている庭に向かって右手をかざし、その後部屋の中に向かって左手をかざした。
自然的ではないが、それでも優しい風が部屋の中に入ってきて、それと共にサラサラと土が部屋の中に入ってきた。
土はクルクルと渦を巻き、最終的にはテーブルの上に小さな山を作った。
自在に土を移動させる事が出来ると、そういう事かな?けど、これは地の魔法だけで出来るものだろうか?
土が風に乗って部屋の中に入ってきた。そう考えられる。
だけど1人につき属性は1つなんだよな?
「はい。ではお嬢様」
答え合わせがないままオレの番とは。
ここで使用出来る全ての属性を取り入れた魔法を披露しなきゃならないのだろうか?けど家庭教師は得意とする魔法って言ったよな?それでスティアは地と風の要素を持った魔法を披露した?
なら、2つの要素までなら問題なく使って良いのかも知れない?
風の魔法と水の魔法は既に使用している所を目撃されているから、その2つだな。火も毎日シャワーとして使っているが、それはフィンしか知らないし。
じゃあ盛大に得意魔法をぶっ放そうじゃないか。
その名も、ハナノミズヤリ、だ!
あ、でも朝に水をあげたから、少しだけ……。
チョロロロロロ……。
これは、まぁ、うん。
全然ぶっ放してる感じがしないな!




