3
オレの家は結構大きなお屋敷だ。
親父はなんかそれなりに?物凄く?偉い人で、結構な上流階級な分類なのだと思う。
その上美貌も持ち合わせており、本妻の子が3人……だっけ?愛人との子もいて、メイドとの間にも何人かいて、他にも。
なのでオレの、今生の兄弟姉妹は、えっと……?
まぁ、沢山いる。
そんな親父の髪色と瞳の色は茶色で、祖父母も茶色。
だというのに、オレの髪は薄い青色で瞳は赤色。だから当然母の遺伝なのだろうが……親父の愛人にもメイドにも、その他関係を持った者の中にも青い髪色がいないらしい。そして最悪な事に、赤い瞳が結構レアなのだ。
オマケに、オレの母親が実際誰なのかハッキリしていない。
その結果“魔物の血が流れているのでは?”なんて噂が立ち、今生においてもオレは引きこもる他の道がなくなってしまった。
部屋から出してもらえなくなった。との表現が近いか。
これが日本ならば幼児虐待の罪に問えるのだろうが、生憎ここは日本ではない。
それ所か……。
日本にいた頃のオレが前世だというのに、この世界にはビルの1つも建っていないような時代というね。その癖魔法だの魔物だのが普通にいるってんだから地球ですらない。
まぁ、そんな事もどうでも良い。
問題は……大きな問題は他の所にある。
フワリンとした青色の髪と、死んだ魚のような赤い瞳、よく言えば中性的な平たい体は、ついさっきまで描いていた……いや、前世のオレが最後に描き残した絵の登場人物に特徴が一致している。その上で、今生の記憶にある自分の名前、生い立ちを照らし合わせれば、それはそのまま読んだ事のある設定集に書かれていた事だ。
って事は、アレだ。
前世でよく目にした異世界転生って奴で、その転生先がよりにもよって姉の作り出した乙女ゲームの中……。
「んなアホな事あるかーい!」
これが夢だ、そうに決まってる。
もしも、もしもの事、ほんの少しの確率で転生していたとしても、何故にこのキャラクターだ?
もっとあっただろ?王子とか、庭師とか、商店の店員とかさ、もっとそれっぽいのがあっただろ!?大量に存在しているモブとかさ!
それに……どうしたって納得いかない事があるんだ。
何故令嬢だよ!
せめて性別は前世に合わせてくれよドチキショウメーイ!




