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雑草を部屋に飾ってから数日後、黄色の小さな花が咲いた。
窓の下にある立派な雑草にも同じような花が咲いていて、ぜひとも近くで見たいと思ったのだが、窓から飛び降りる寸前でフィンにより阻止されてしまった。
オレはあまり植物に詳しくはなかったので、この花が前世にいた地球の日本にも生息していたのかは分からないが、花を見て楽しむという感性はオレの中にもあったようだ。
通りすがりに見れば単なる黄色い花だが、こうして自分で水遣りをして咲いた花となるとただの雑草では済まされない感動がある。
それで……うん?
「庭に咲いてる花って、屋敷内に飾られたりしてんのかな?」
なんとなく心に引っかかった事を声に出してみた。
客室とか、エントランスとかを華やかにするには花を飾る事は効果的だし、学校の体育館の舞台上にある大きな花瓶みたいなのが置かれていれば圧巻だろう。
で、だ。
兄弟姉妹やその母親達、親父の部屋にも、同じように花が飾られてるのだろうか?
フィンを見れば、何も聞かなくとも答えが知れた。
一応オレはこの屋敷でいうとお嬢様なんだ。そんなオレの部屋には今日まで花とは縁遠く、今日咲いた花もオレが育て、摘み取ってきた雑草……。
オレはどれだけここの連中に見下されてんだ?
そりゃ面と向かってサルって言われてる訳だけど、それは兄弟姉妹やその母親達が青髪赤目を忌み嫌って呼ぶものであって、使用人達までオレをサル扱いするのはどう考えたって可笑しいんじゃないか?
軽視しても良いと思われる位には差別されているのは確かだが、雇い主の子供である事にはかわりないんだぞ?
ここで使用人達を恨むのはお門違いなんだろううけど、どうしても好きになれそうにないわ。
もちろん、フィンは別。
「いつか……一緒に花冠を作りましょうね」
ハハハ、思いっきり話を逸らされた。
それってもう、屋敷中に花が飾られてるって言ってるようなもんだからな?
「魔法学校に行ったら今よりは自由に出来ると思うから、そうなったら作ろう」
もし寮があるのなら迷わず入って、付き人としてフィンを連れて行くんだ。それから2人で町にも行こうじゃないか。
今生での俺の世界はこの部屋か庭だけなのだから、1度ゆっくりと屋敷内を散策してみたい気もする。
食堂に行って、何度もオレに腐った物を食わせた料理人に嫌味の1つや2つ言ってやるんだ。
しかし、作った物をわざわざ腐らせる為だけに保管しておくなんて、なんとまぁ手の込んだ嫌がらせですこと。




