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何故ここにセミオンとアフィオがいるのか納得がいったよ。
将来敵となる者全員で、今のオレの実力を測ろうって魂胆だな?
だったら攻撃魔法も禁止しなきゃよかったんじゃないか?って、それだとあまりにも戦闘スタイルが違い過ぎて勝負にならないか。
オレのメイン武器は大剣なんだから、木刀での立ち回りをちょっと見られただけでは手の内を明かす事にはならない。じゃあもうさっさと終わらせてしまおう。
どうせ明日も早いんだし……。
ならもう1度王道でいってみようじゃないか。
払われて流れる木刀の先をクッと止め、クルッと木刀を回して逆手に持ち、もう一度クルッと返して反動をつけてからの頭狙いだ!
ガコッ!
受けると思ってたよ。だけど、防御を下げさせてしまえば問題はないんだ。
受けられた木刀を大きく振り八の字を描くようにノータスの木刀に向かって打ち続ける。
ガンッ!ガンッ!ガンッ!ゴッ!
そして注意力を削いだ後手に向かって攻撃……。
カランカラン。
え?
防御には魔力を使用しても良かったんじゃなかったっけ?
まさか、こんな綺麗に小手が決まるとは思ってなかったんだけど……攻撃を一方的に受けることで反撃の事しか考えられなくなったとか?にしても凄い音がしたよな、大丈夫だろうか。
「ノータス、見せて」
慌てて近付きグローブを脱がせて見てみると、少しばかり腫れていた。
どうしよう、骨には異状ないよな?えっと、こんな時どうすりゃ良いんだ?
「氷で冷やしてみよう」
おぉ、その手があったな!
「僕は医務室の先生を呼んできます!」
そうか、怪我をした時は保険医だよな!
よしよし、なんとか落ち着いてきたぞ。えっと、氷だな。
「こ、これ位平気だし……」
「なんかあってからじゃ遅いんだ。良いから大人しく冷やされとけ!ですわ!」
さて、貴族の坊ちゃんの手を攻撃した平民に対する罰ってどんなのがあるんだっけ?これがセミオンとアフィオだったら間違いなく死刑だっただろうな。
この場にいる全員が手合わせ中である事を目撃している訳だが、まぁ、オレがいきなり攻撃したって事になるんだろう。
だったら?
保険医が来る前に逃げるしかない!幸いこの場にいて飛べる唯一の人物であるスティアは保険医を呼びに行って不在だ。
「ドラード、凍傷に気を付けて良い感じの温度で冷やしてくれ。じゃあ!あ、それと、腫れてるから圧迫も忘れずになー」
急いで寮の自室に戻って防具を装備し、部屋を飛び出す。
こういう時、機動力を優先して軽装備にしといて良かったって実感するよ。重装備だったら装備してる間に部屋まで敵が来ているだろう。
それを思うと、防具も魔力で作り出して使わない時は消しておくってのが良いのかも知れないな。それだったら今も自室に戻る必要なかったわけだし。
まぁ、実戦で使えるだけの強度が出せるようになってから考えるか。




