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アフィオと共にナナの乗った馬車を見守りに行く。という依頼を受ける事2日目、昨日と同じ出で立ちのアフィオが今日もやっぱり1人で颯爽とオレの前に現れた。
従者は仕事を放棄したのかな?
「待たせてしまったか?」
デートかな?
それに、特に待ち合わせ時間も決めてなかっただろ。
「待つも何も、ここで見張りの仕事中ですから」
魔法学校からの報酬はもらえるかどうか分からないが……。
「そうか、なら行こう。昨日言っていたように、飛んでついてきてくれ」
こうしてアフィオはオレの返事も聞かず、クロさんとカワさんに挨拶もせず、ハイヤッと馬を走らせたのだった。
この態度だけを見れば普段通りのアフィオの気もするな……。
「じゃあ……行ってきます」
2人に挨拶して飛び上がろうとした所で背中をポンと叩かれる。
「気をつけてな」
「いってらっしゃーい」
他人事だと思って……。
今度こそ飛び上がり、既に馬で駆けているアフィオを追いかけて飛んでいるとチラリとオレを確認した後、目を少し細くして口元を緩ませた。
うん、あれは誰だ?
これじゃあ、まるで王子様……。
あぁ、王子様で合ってるのか。
しかしだ、その表情はただの冒険者相手に見せて良い表情なのか?本来ならヒロインであるナナと結構な高好感度になってからでないと無防備な笑顔ってのは……。
ん?
そうだよ、ルートに入らない限りアフィオは誰に対しても”どうせ身分でしか俺を見てないくせに”みたいな、セミオンとはまた別の悩みを抱えてる如何にもって感じの、テンプレのような王子様設定だったんだよ。
そうそう、それでオレも卑屈な表情のアフィオを何枚も何枚も描いたんだ。
で、なんで今オレに対して微笑みますか?
まさか、冒険者のキヨタカとしてでもヒロインの好感度イベントを横取りできるって事なのか?
いや、だけどそれらしいイベントはなかったよな……。
こうして2人で依頼をこなしてはいるが、これはアフィオから持ち掛けられた、ナナの馬車を見守りたい。って依頼だ。
ナナとの好感度イベントなのに、ナナの馬車を一緒に見守るというイベント内容はストーリー的に可笑しい。
他にやった事と言えば……昼寝するアフィオの代わりに見張りをした位か。
その見張りもナナの馬車を待つためだったんだから、この依頼内容自体に好感度アップイベントの要素はない筈だ。
だとしたら、オレが言ったセリフ?にしたって特に変わった事は言ってないよな……なら、行動か?っても、昨日やったのは見張りと……馬に乗った事によるケツの痺れだ。
え……っと、好感度アップイベントでヒロインのケツが痺れるって内容はアリなのか?
ナシに決まってるな!
それが許されてしまったらこれは乙女ゲームではなくてギャグゲームになってしまう。
じゃあ、アフィオは乙女ゲームのイベントとは関係ない場所では愛想が良いって事になるのか?




