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空が薄っすらと夕焼けに染まり始めるころ、オレとアフィオはまだ木陰にいた。
自由に行動したら良い。そうオレが言った直後、アフィオはその場に座り込み、寝転がり、昼寝を始めてしまった為だ。
こんな野外で完全に寝オチるとか正気かよ……危機管理どうなってんだ?
と言うか……夜になる前に起こした方が良いんだよな?
あれ?もしかして夜になる前に王都に送り届けないと駄目な感じか?
とりあえず起こそう。
「殿下ー王太子殿下ー起きてください。夕方ですよー」
叩き起こす訳にも、ゆすり起こす訳にもいかず、少し大きめの声を出して呼び掛けてみたが……まぁ、こんなんで起きれるんなら苦労しないわな。
それに、オレもオレで危機管理がなってなかったわ。
こんな野外で、寝ている相手に向かって王太子と呼びかけるなんて、襲ってくださいと言っているようなものだ。
だからって他に呼び方がある訳でもなし。
仕方ない、軽く叩いて起こそう。
「もう夕刻です、帰りますよー」
ポンポンと肩を叩きながらもう一度呼びかけてみると、ムクリと起き上がって棒読みにも聞こえる声を上げて大きく伸びをして見せてきた。
寝たふりでもしていたのか?なんの為に?
「馬車は……もう行ってしまっただろうか……」
十中八九ナナの乗った馬車の事なんだろうけど、オレがそれを知っているのは不自然だからぼかさないとな……待てよ?ここは王都から随分と離れた場所、この先にある屋敷で、その上王太子が直々に迎えに行く程の者なんて光属性保持者しかいない。
つまりはナナの事。
まぁ、別に深く考える必要もないんだけどさ。
「王太子殿下が眠ってから今まで、1台の馬車も通ってません」
既に夕刻、ナナが今日王都に戻るのかさえ怪しい。
「そうか……なら、明日もまた頼めるか?」
明日も来るのか!
ちょっと迷惑なんだけど……なんて素直に言ったら流石にマズイか。だからって遠回しに言って聞くような人間でもないし、そもそも言い出したら聞かないんだろうし。
「はい、分かりました……あ、明日はオレ飛んで移動しますので」
まぁ、今日のアフィオとなら一緒に馬車を見守るくらい苦でもないし、報酬ももらえるんなら別に良い……。
「また動けなくなるのが嫌か?」
そしてこの軽口と笑顔だ。
こんな人間らしい態度を見てると、キャラクター化する事が正義なのかどうか分からなくなる。
だってさ、多分本来のアフィオってこんな感じなんだと思うんだよ。
人を気遣うことができて、馬にも優しい。
王太子としての危機感は皆無だけど、それでもちゃんと人の話しを聞けるだけの器があるように感じられるんだ。
間違っても自分だけの解釈で突っ走る人物には見えない。
これって、将来王様になるんなら必要な事だし、キャラクター化して失われるのなら国の為にも阻止しなきゃならないんじゃないか……なんて。
はぁ……オレはまたどうして昼の部の事を考えてんだか。




