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クロさんがギルドの役人と城の兵士を連れてここに戻ってくるとのことで、オレ達はその場で待機することになった。
もちろん依頼主には何も連絡は入れていない。
その理由はここにいた3人の証言と、オレがした報告。
それにより依頼主は虐待とか、不敬罪とか、なんかその辺の罪に問われることになるらしい。
中でも1番の大罪なのは、魔法が使える子を隠していた事だってんだから流石は魔法のある世界だなぁって。
まぁ、魔力がある者は学校に行かなきゃならないって法律を無視してんだから罪になるのは当然か。
と、言う訳でギルドの役人と兵士による逮捕劇が終わるまではジッとしているしかない。
そうだ。
「メッセージが届く時に小さく音が鳴るんですけど、この音の消し方を教えてください」
声をかけた時には嬉しそうだったカワさんの表情が、質問を終えた瞬間つまらなそうに視線だけをプレートキーチェーンに向けた。
なんなのだろうか?
「その音な、自分にしか聞こえないから気にすんな……後な、なんかもっと面白い質問ないか?暇でさ」
あぁ、そういう事ね。
難しい質問……だったらこっちはどうだ?
「池の底にある2人分の足跡を辿ってここまで来たんですけど、その足跡って真っ直ぐ伸びてたんですよ。何故迷わずにここまで来れたんですか?案内係がいたのなら足跡は3人分ないと可笑しいですよね?」
どうだ!
自分で考えてみて結局フワッと分からないままだったんだよ、これ。
「屋敷内にヒントが……って、お前はどうしてここが分かったんだ?」
屋敷内にヒント!?
「え?ヒントなんてありました?オレは虱潰しで……ここに何もなければ屋敷の床板剥がす予定でした!」
冗談ではなく、意外と本気でそう思ってたし、それでも駄目なら壁の破壊をするんだーって。でも最終的には依頼主の所に戻ろうと思ったんだっけ。
「うわぁ~……」
うわぁ~……って、そんな引くことないでしょ!?
だって、しょうがないじゃないか!屋敷中ウロウロしたのに、そのヒントってのが見つからなかったんだから……。




