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それだけ分かれば良い。みたいに穏やかな笑みを称えたドーラは、赤と青の石を片手で持つと、2つの石を合わせて紫の石を出した。
「簡単に言うと、魔力を変化させ馴染むようにした」
魔力を変化させた!?オレに馴染むようにって……
「じゃあドーラの今の属性はなんなんだ?」
「……私の属性は変わってない」
ん?私のって事は、変化させられたのはオレの方?
えっ!?何を勝手な事を……いや、だけど何かが変化したような感覚は無いし、今まで通り水も、火も、地も、風も使いこなせてる。そこに新しい何かが加わった感じもないし、一体何がどう変わったんだ?
で、こんなオレと馴染むようになったドーラは大丈夫なのか?オレに釣られて闇属性になったなんて事は……ない、よな?
待てよ?闇属性になる可能性があるのなら、光属性にもなれるのでは?
「人の魔力を変化させられるんなら、自分の属性を光にしたり、人を光にしたりして誰でも回復魔法が使えるように出来るんじゃないのか?」
そうなれば光属性は希少ではなくなる。つまり、なんやかんやでナナマジックの消失に繋がるんじゃないか?
「……もう少し説明すると、私の魔力を生み出す核をキヨタカの中に宿した。それで魔力が混ざって馴染むようになったんだ。この核は相手が死なない限り相手の中にあり続ける。核を与えられるのは1人につき1人だけ。だから誓いを解除するには、私かキヨタカのどちらかが死ぬしかない。分かったか?」
わー……凄く分かりやすかったよ。
だからってすんなりと理解するには情報量が多い。魔力を生み出す核ってなんだよ、そんなの初耳なんだけど?それと、そんな命を懸けた誓いを勝手にされても心底困るんだけど……まぁ、ドラードが回復してくれなければオレはどうなってたか分からないんだけど、それだってストーリー上の事なんだろうし……って事は、ドラードは本来敵である悪役令嬢のエイリーンと契約させられてしまう悲劇の攻略対象者って役割なのか。
攻略対象者の1人が妙に死亡率の高いタイプのあれだ。完全にルートに入らないとヒロインの覚醒のキーとなる為に死ぬタイプのそれだ。
とりあえず、
「誓いの解除は出来ないな」
それだけはしっかりと理解出来たからな!
「やっと分かってもらえて、嬉しいよ」
なにを微笑んでんだよ……こっちは頭の中の整理に忙しいってのに、全く、本当に。
「お茶、そろそろ出来ますけど、良いですか?」
ナイスタイミングだスティア!




