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黙ったままの執事と侯爵は、それでも目付き悪くオレを見ている。
アヌビアス家が侯爵と思われている事に何も思わないのか?何か思ってくれないと次に進めないんだけど。
しかし、ここはナナの住処だ……侯爵本人ですらナナマジックにより可笑しくなっている可能性は高い。
いや、初めから可笑しかったけど。
「私、侯爵はお父様なのだと声を大にして訴えますわ。アヌビアスではなくプラガットなのだと!そうでしょう?お父様!」
少々芝居がかりすぎただろうか?
「あぁ、そうだな……」
よっし肯定文来た!
覆される前に次に行こう。
「そこで考えましたの。何故私が平民扱いされているのか……貴族側の寮ですし成績も優秀である1組ですのよ?だけど、アヌビアス・ナナには2人も側使いがついているのに対し、プラガット・エイリーンには1人もついていませんの。もうそこしか思いつかないのです」
はい、ここで2回目の息継ぎ。だけど様子見はしない。
「ナナさんに2人を付けた理由を覚えていらっしゃいます?新しい環境になるから。でしたわ。しかしもう夏季休暇、いくらなんでももう慣れたと思いません?そこで、今度は名誉回復のため、フィンとスティアの2人を私に付けて欲しいのですわ」
さあどう出……
「駄目だ」
拒否が早いな!だけどもう一押しだ。
「では私と同じクラスのスティアのみなら良いでしょう?フィンはナナさんと同クラスですので丁度良いと思いますわ」
これで否定されたら更に、同じクラスだから都合の良い理由を説明しなければならないし、逆上させるために“ではナナさんを私の専属に”なんて頭の悪い事まで提案しなければならないから、色々察して納得してくれ。
曲がりなりにも侯爵を務めてんだから、別クラスより同クラスにいた方が仕えやすいなんて事は言わなくても分かってくれるよな?
「……良いだろう」
拒否は早かったくせに、肯定にはかなりの時間を費やすんだな。まぁ、別に良いけど。
「ではスティアは今から私の専属ですので、寮に住ませてくださいましね」
「……良いだろう」
肯定する時にやたら時間をかけるのはなんなんだ?でも、別に良いさ。
とりあえず、スティアが仲間になった。




