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夏季休暇中の帰省準備で慌しい学園内を飛び出し、オレとドラードは2人で昼間のお散歩をする事にした。
お散歩コースは町で有名なスイーツ店でそこそこ良いケーキを買って、教会をぶらりと一回り。序に神父さんに御機嫌ようと声をかけて手土産を渡す。という至って優雅なプランとなっている。
「何故エイリーンも着いて来るんだ?」
喧しいぞ黒毛美形!
「実家が近所って知ったからには挨拶しないと気が済みませんの」
帰省したドラードの雰囲気が良いならそのまま帰るつもりだし、一緒に育ってきた兄弟?達との時間を邪魔するつもりは無いさ。
ただちょっと引っかかっただけなんだ。
「手土産はどれにする?」
表通りにあるキラッキラしている店の1つに入って見れば、生クリームがたっぷりとあしらわれた、やたら甘そうなケーキがズラリと綺麗に並んでいる。
購入した後1回でも荷物が揺れたらベシャッとなりそうなのは手土産には適していない気がするからー……。
あ、それより先に確認だ。
「何人分必要ですの?」
最も重要な情報が抜けてたわ。
「6人分」
ふむ。
「ドラードは自分も数に入れたのかしら?」
もし誰かに“プラガット家に対するお土産を買うから人数を教えて欲しい”と聞かれた時、オレなら自分を数に入れない。だから、ちょっと気になっただけ。
「あ……俺を入れたら7……エイリーンを入れて8人だ!」
いや、オレは入れなくて良いけど……8人なら1ホールを買って行った方が良さそうだな。じゃあガッツリとティータイムに参加する事にして、茶葉も買うとしよう。
「1ホール買おうか。何が良い?」
チョコ?チーズ?タルトって手もあるけど、神父も食べるんならシフォンケーキとかが良いのか?
「これ……」
そう言ってドラードが指差すのはかなり可愛らしくデコレーションされたイチゴショートだった。
あ、なんか、っぽいわ。
「イチゴショート6号と、ストレートで飲んでも美味しい茶葉をくださいな」
完全なお子様にはジュースの方がよかったかな?って、今更だな。




