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今、誓いをたてた相手も回復できる。とか言った?
え?オレ今ドラードに回復してもらったんだけど?
って事は、ドラードはオレに誓いをたてたって事なのか?
いつ?どこで!?
「破棄を!今すぐそれを破棄する事をお勧めするでござますわ!」
何を勝手に誓いとか物凄い重大な事をやってんだよ。お前は将来確実に大魔法使いになれる有望な人物なんだから、しっかりとヒロインであるナナの側にいるべきなんだ。
例えナナがアフィオの妻となったとしても、2人に生涯を捧げる事が国民としての……攻略対象者としての正解だろ?
「嫌だ」
我侭言わないの!
「良いですか?私は将来確実に逆賊になるのです。ドラードを残して行くのです。連れて行きません。それは決定事項です。ですから……」
「ついて行く。ドラードとして側にいる事が許されないのなら、ドーラとして」
いや、そんな決意を見せられても困る。
確かに今はオレに誓いをたてているのかも知れないが、それは単なる好感度イベントをナナよりも先にオレがした事によるバグだ。
セミオンと同じように、いつかは自然な流れで同じイベントが起き、必ずナナマジックにかかる攻略対象者を、大事な戦いの場に連れて行く訳にはいかないんだ。
分かるだろ?
この乙女ゲームの正しい流れでオレは守り神に踏み潰されて死ぬ。そしてナナもそれを望んでいる。
いや、ナナだけじゃない。ナナの側にいる人物の全ての願いでもある。
なっ?
ヒロインマジックにかかれば、ドラードだろうがドーラであろうがお前もオレを疎ましく感じるようになるって理解出来るだろ?
ここぞという所で、1番肝心な所で足を引っ張ってくる障害となるんだよ。
「オレはお前を嫌いたくは無い。だから連れて行かない。頼むから破棄してくれ。そしてナナの所に行って欲しい」
目的としている守り神の討伐を目前にドラードが邪魔をしてきた時、オレには冷静でいられる自信が少しもないんだ。
「エイリーン。お前は“誓い”を軽く考え過ぎている。俺はお前の為ならばナナ嬢を攻撃する事も厭わない」
はいぃ!?
厭え厭え!




