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毎日顔を合わせているからというだけで味方になる人間なんて居ない。
そこにあったのは可哀想だからって同情だけ。
そうだ、フィンは言っていたじゃないか“エイリーン様を一人前にする事が私の使命なのです”ってさ。
一人前のサルにするって意味だったのかもな。
オレは庭に出て何をしようとしてたんだっけ?
そうだ、親父が合鍵の事でフィンを罰する可能性を考えたんだっけ?
ばかばかしい。
本当にバカみたいだ。
両手を合わせて自分を中心に魔力を広げるように流していくと、オレが作り出したモノの気配がした。
それは間違いなく合鍵の気配。
最近のフィンは作法などの本しか持って来なくなっていたから、多分図書室にある魔術書や剣術の本は粗方読みつくしているのだと思う。そうじゃなくても、持って来てくれないのなら意味がない。
だったらこんなモノは必要ない。
オレが何をどう感じようが、この家の人間にとってのオレは人間以下の存在なのだ。だったらお互い姿は見ない方が楽で良いんじゃないか?
なぁ?
パキッ。
序だ。
バキッ。
フィンに渡した合鍵と、親父の持つ鍵も丁寧に粉々にした。
どうせ奴は気が付かないんだろうし、気が付いた所で何もしないだろう。
それで良い。
オレは悪役令嬢。主人公に向ける憎悪は大きければ大きいほど良いのだろうから、この待遇の悪さを恨みの力として貯めておくさ。
その上で、生贄になどなってやらない。
こんな家、綺麗に没落してしまえ。
そうだ、今はお茶会の途中だって言ってたな、丁度良い。
「自分で戻れます」
こうしてオレは風の魔法を使って3階にある自室の窓まで飛び上がって部屋に戻り、魔法が使える事を公にした。




