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悪役令嬢でござりまするってよっ!  作者: SIN
第6章ですますわっ

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18

 スティアの岩攻撃を受けて頭に大怪我を負ったオレが、学校内でどう言われているのかを教えてくれたのはドラードだった。

 ナナへ向けた攻撃をオレが放ったのだとの目撃情報まで出たらしいじゃないか。

 当時その場にナナはいなかったというのに、だ。

 こんな無茶苦茶な目撃情報がそのまま正解となって噂が広がり、今では誰もが知っている事件の1つじゃないか。

 ナナは弱々しく“私は怪我はしていないのでエイリーンさんを責めないであげて”とか頓珍漢な証言までするおまけ付き。

 それが完全な嘘だと知っている人間はオレとセミオン以外にもいる筈なのに、今の所誰も名乗りを上げてくれない。あぁ、スティアとナナも知っているか。

 ドラードはどうなんだろう?

 「私が頭を怪我した理由はご存知?」

 そう言いながら頭を押さえてみるが、何処を怪我していたのかが分からない位に回復している。それなのにチクリと痛んだ気がした。

 「まだ痛むのか?」

 どうやら顔に出るほど痛んだようだ。

 セミオンはオレに対して質問した癖、こちらをチラチラと気にしているスティアを睨み付け、ドラードも不機嫌そうな顔でスティアを眺めた後立ち位置を変え、それによってオレからはスティアの姿は見えなくなった。

 「あの男の攻撃だ。そもそもエイリーンの属性は霧なのだから地の魔法である岩など出せる訳がない。それなのに教師も噂を信じて疑わない」

 正確には闇属性だから地の魔法も使えるんだけど、そこを説明すると今はややこしくなるからスルーするとして。

 「学校を卒業する頃には、もっと多くの濡れ衣を着せられているでしょう。そして私は1組である事で既に生贄として相応しい魔力の持ち主だと判断されています」

 勇者と同じ光属性のナナを事ある毎に攻撃をする“平民”の行き着く未来なんて、生贄以外にあるだろうか?もしオレが侯爵令嬢だと認知されたとしても、ナナはその侯爵様と侯爵家執事による恩恵を一身に受けているのだから、オレの立場が優位になる事などまずありえない。その上ナナは王太子であるアフィオを完全に味方につけている。

 何がどう転んでも生贄に選ばれる未来に変動はないだろう。

 「それで?お前はそれで良いのかよ!」

 声、大きいぞ?

 「殿下も国を守ってくれる守り神の存在は大事でしょう?私の命で1年間国が守られるのだから、良いじゃありませんか」

 今までそうやって年に1人の命を捧げてきたんだろ?それが自分の近しい人間だからって急に異を唱えるなんて可笑しいよな?だからもう納得してくれ。

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