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我ながら、良い性格をしていると思う。
この国に住む、守り神に守られている不特定多数の命より、自分を優先出来るほどなのだから、たいしたモノだよ。
けど、こんな思考になってしまうだけの事はされてきたんだから仕方ないなとも思ったり。
まぁ、家族から虐げられ続けたのはオレではなくエイリーンだし、魔法学校で悪役に仕立て上げられてはいるけど、それまでに守り神を倒すって考えは固まっていた訳で……うん、人のせいにしたら駄目だな。
ともかく、オレは良い性格をしているという事だ。
頭の何処かで“この乙女ゲームのエンディングまで見れば元の世界に戻れる”との考えがあるからこそ、なのだろう。
ここが本当に現実世界なのだとしたら、ナナと関わった人間のキャラクター化を説明できない。
特に2組の担任と、食堂の自称料理人達。アフィオの物分りのなさ?も。後は……スティア!人に向かって岩を投げつけて来るとは思わなかったし、さも心配げに見つめてくるなんてサイコパスかよ!
「生贄になりたい?何故そう思うんだ?」
顔を近付けて来たドラードが、それでもかなりの小声で尋ねてくる。それを聞き取ったセミオンまで顔を近付けてくるものだから、オレ達は教室という空間の中でかなり目立っている事だろう。
しかし答え辛いな……本音を言う訳にもいかないが、何か理由をつけないと不自然。だけど詳しい事情を話す訳にもいかないから……よし、ぼかそう。
「それが私に残された道ですわ」
「……何故そう思うんだ?」
何か納得出来るような理由が欲しいのか。
「将来の選択肢なら、俺が1つ提案しただろ……」
そしてセミオンは婚約話を蒸し返してくる。
オレが純粋なエイリーンだったのなら、セミオンの申し出は嬉しいのだろうな。
「何をしなくても私は生贄に選ばれるのでしょう。だから回りから選ばれたのではなく、自分から生贄になりたいのです」
さぁどうだ?かなりもっともらしい理由だろ?前半部分は本当の事なんだから真っ赤な嘘でもないし。
「何故そう思うんだ?」
ドラードはそればっかりだな。




