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「おはようございますドラード様。キープレートは今お持ちですか?」
登校してきたドラードに早速声をかけると、なにやら不審そうな顔でジロジロと見られてしまった。
特に何も疚しい事はないので堂々と胸を張る事ほんの数秒、渋々ではあるがキープレートを取り出してくれた。
「お前のも見せろよ?」
と、ジト目で。
「もちろんですわ」
そしてオレは破棄した方のキープレートを差し出す。
教室の隅に行き、2人してお互いのキープレートの確認をしてみれば、ドラードの目は大きく見開かれて驚きの表情を惜しみもなく浮かべている。
それもそうだ、オレのキープレートには今“使用不可”の文字が出ているのだろうから。
しかし、表情豊か過ぎ!朴念仁設定は何処いった?
それは兎も角、ドラードのキープレートにもHPゲージとMPゲージが見えるし、ステータス表示も見える。
それによるとドラードの魔力は50で、体力は10しかない。
これはこれで高いのか、低いのか……。まぁ、魔力の50がチートってのは分かる。
魔力の天才過ぎて周りからも、教師からも恐れられているんだから冒険者においてもきっと高いのだろう。現にドラードは光属性にしか使えない回復魔法を再現して見せるほどなのだから、才能もセンスもある。
将来どんな大魔法使いになるのか楽しみだな……。
その力をナナの為に発揮する事になるのは知っている。だってドラードは攻略対象者であり、大きく見れば悪役令嬢のオレとは敵対しているのだから。でもさ、なんか……思うんだよ。
ドラードの力を、オレの為にも使って欲しい。なんてさ。
「おまっ!なに?え?使用不可?え?なんで!?」
どうした朴念仁!
だけど、説明しようとしてたから丁度良い。
「冒険者の真似事はもう終わりにしようって言ったでしょう?これで安心できますか?」
そして今夜にでもドーラの冒険者登録を破棄しに行こう。冒険者を完全に止めに行くと説明すれば、セミオンだって夜の外出に納得してくれるのだろうし、破棄した後のキープレートを見せれば安心するだろう。
「ほとぼりが冷めてから、また始めるものだとばかり……」
甘いな、ホトボリが冷めるも何も既に始めてるわ。
そもそも辞めた期間すらないわ。




