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おにぎりと味噌汁を食べ終えた後、まったりとする時間もなく、
「さっき、俺がナナ譲の手先とか言ってたけど、どういう事だ?」
と、再び技とらしい惚け方をしてくるセミオンに対してどうするのが良いだろうかと考える羽目になった。
もしかしてナナの手先ではないのかも。なんて奇跡的な事は起こらないとオレは知っている。これがまだコーラルとか教師とか、攻略対象者ではない人物から言われると非常に判断が難しい所ではあるが、セミオンはバッチリと攻略対象者であり、既にナナとの出会いイベントも済ませているキャラクターだ。
なので、こんな態度もナナから普段通りに接するようにと命令された可能性が高い。
2組の教室までオレを迎えに来たセミオンは、2組の教室内を見て微笑んでいるのだ。もし本当に嫌悪ポイントがある人物を目にしたのなら、絶対にありえない表情だった。
しかし、生贄報酬を侯爵家に与えない為の遺書製作には王族の権力が必要になってくる。もちろんナナの息が掛かっているセミオンでもアフィオでも駄目で、その上にいる人物にまで辿り着かなければならない。
平民だと思われているオレが単体で動いたところで、全ては無駄な努力に終わる。だからこそセミオンを利用してナナの息のかかっていない王族……セミオンとアフィオの姉に会わなければならない。
お茶会とかに招待されるんなら楽なんだろうけど、流石に平民は呼ばれな……あぁ、侯爵令嬢モドキのナナは呼ばれる可能性は高いな。しかも魔法学校唯一の光属性となれば、さぞやもてなされるのだろう。
光属性は勇者の属性、まさに特別な存在。
対するオレときたら……。
王族に遺書の見届けを頼むなんて、良く考えれば無茶な話だ。口に出す前に我に返れてよかったよ。
って事は……セミオンと一緒にいる理由がなくなってしまった。
「殿下達がナナの手先である事は知っています。だから伝言、頼みましたからね」
親友レベルに仲良くなった訳でもないし、ドラードと同じだ。静かに昼食が食べられるようになるってだけで、特になんともない。
「何で俺があいつらの手先になるんだよ!有り得ないだろ」
いや、もう良いから。
ここで粘られると途端に白けるから。
「普通に考えると有り得ませんよね。恋愛脳って凄いですわ」
「どうやったら俺を信じるんだ?言えよ。なんだってしてやる」
なんでも……だと?
なんという無防備極まりない事を言い出すんだこの王子様は!
けど、そうか、なんでもするのか。




