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005 便利だけどちょっと不便な私たち

一気にドバーっと投稿したり、ちまちま投稿したり、感覚は不安定になりそうです


イヴィとお互いにステータスやスキルの確認を行っていくにつれ、【悪魔召喚】の「決まり事」のようなものが段々分かってきた。

これは多分他にもあるであろう召喚系スキルにも適応されると予想してみる。



まず、私が召還した者は自分の力で還ることもできるし、私が還すこともできる。

もしHPが0になっても、死ぬのではなく召喚が維持できなくなって消えるだけ、という設定になっていた。


ただHP0で消失した場合、24時間が経過するまで再召喚はできないようだ。



あと、やっぱりというかイヴィは「天地」のイヴィのレプリカというか、【魂の一部】という扱いらしい。


故に、本体は元居た場所に存在しているので、元の世界での役割を心配する必要もない、ということみたいだ。


そしてこちらに召喚された魂の一部の記憶は、本体と混ざることがない。

本体はこちらの状況を知ることができないし、こちらの魂の一部も現在の本体の状況を知ることができない。


ゲームの世界とこちらの異世界の記憶が混じり合うことで起きる矛盾を防ぐための、ご都合設定なのかもしれない。



本体の状況を知れないと分かった時のイヴィはちょっと複雑そうだった。

そうだよね、向こうに自分と同じ存在がいてちゃんと役割を果たしていると分かっていても、向こうの状況を知れないのはとても歯がゆいと思う。


イヴィが【偽物】というのは私が全力で否定したし、召喚の制約によれば偽物ではなく一部という扱いだというのは分かるけど、

向こうに影響を与えない自分の存在が、酷く中途半端に感じてしまっても、おかしくないと思う。ここは私がしっかりフォローしていかないと。




召喚にはもう一つ、距離という縛りがあるみたいだ。


例えばシュレイグス様のモノマネをしている時、その召喚悪魔であるイヴィは十全の力を発揮することができるけど、

誰のモノマネもしてない時、もしくは別人のモノマネをしている時は、私から半径500mほど離れることでレベルとスキル熟練度が半減してしまう。


常に行動を共にするならそこまで問題にはならないけど、イヴィが個人行動で長距離離れたとして、私が急にモノマネを解いたりすると、イヴィに迷惑がかかることになる。


イヴィに聞いてみたところ、彼女のレベルは96。ステータスのランクは平均Aで、魔力がSSらしい。


レベルや熟練度が半減しても十分強いんだけど、誰かと敵対した時、その相手が英雄レベルだと危険かもしれない。

この辺りは十分注意して、なるべく長距離離れないように、距離を取るにしても事前報告しないとだね。








「あら、お可愛らしい…それが本来の主様のお姿ですか?」

「そうだね、本当の私は12歳で、成人したてだから」

「この世界の人族は12歳で成人なのですね」

「うん、たしかアッチの世界では15歳が成人だったっけ?コッチだと、魔物以外は大体12歳=成人って認識だよ。他にも色々違うところはあるから、そこはおいおい説明するよ」


シュレイグス様からラムダ(自分)へ、と意識することで、なんとか本来の姿(少年風シュレイグス様コス)に戻ることができた。

それから改めて自分のステータスを見てみる。



ラムダ


年齢:12歳  性別:男性

種族:人族   職業:なし


Lv:9

HP:629   MP:7773


筋力:D

俊敏:D

精神:D

体力:C

魔力:SS

器用:A

幸運:E


スキル:

【モノマネ】





へぃ、ちょいとお待ちよ。


レベルめっちゃ上がってない?6くらい一気に上がってない??



え、うそ。まさかさっきのフォレストボアの?

マジで、モノマネ中に倒した魔物の経験値ってラムダ本人にも入るの?どんだけ便利設定なんだよ。我がスキルながら引くわぁ…


HPも結構上がってるから気持ち痛みが減ったよね。といっても怪我自体はしっぱなしだから痛いのは痛いんだけど。



イヴィがすごく痛々しそうな顔でこちらを見てくる。

化粧で隠しているけど、近距離で観察されたら流石にバレるよね…


「主様、その傷は……」

「あー、まぁ、ちょっとね。気にしないで」

「しかし……」

「大丈夫大丈夫、ちょっと転んだだけだから」

「はぁ……」


とりあえずここは適当にごまかしておこう。


ゴブリンに追いかけ回されたこと自体は別に話しちゃっていいんだけど(赤っ恥案件ではあるが)、長兄の話はちょっとね…

今言ったら、優しいイヴィのことだから、長兄ごと実家の一つや二つ物理的に潰しちゃいそうだし。


正直、実家にはもう関わりたくないしなぁ。

ごく一部の「まとも」な人たちを巻き込みたくないし。



「私の【房中術】で回復させることはできるのですが…」

「やめよう?色んな意味でやめよう??あとソレ使うと後々面倒な気がする」

「やはりそうですよね。お役に立てず申し訳ありません……」

「いやいや、気持ちだけで嬉しいよ」


シュレ様のスキル欄にもあったのだけど、【房中術】というのは悪魔が大体所持している種族スキル的なものだ。


相手のHPやMPを吸い取ったり、逆に与えたりすることもできるんだけど、主な効果は【魅了】とか【服従】。

対象を虜にして操るためのスキルとして天地では知られている。


そして恐らくだけど、現実でこのスキルを使うと多分普通にエロいことになると思うんだよね!

なんてったって房中術だし。ゲームではその辺簡略化されてたけど。


なので私はシュレ様モード時でも房中術のスキルだけは絶対使わないと決めたのだった。

だってシュレ様のイメージにエロは合わないし。





フラグじゃないからな!!!!!

絶対使わないからな!!!!!!!!







「個人的にはとても不本意なのですが、天使の召還が可能ならばそちらを仲間に加えてみては?彼らは回復魔法を得意としていましたよね」

「天使かぁ…そうだなぁ、検討はしてみるよ」




シュレ様時とラムダ時のステータスが違うせいで、自分自身に回復魔法をかけることはできない(経験値は移動するのにね!)。

なので仲間に回復スキル持ちが居ると大変ありがたいとは思うのだけど……



ぶっちゃけ私は極力、召喚等で仲間を増やしたくないと思っている。


イヴィは私を主と認めてくれたけど、やはりモノマネ…偽物を主と仰ぐのに抵抗がある者は居るはずだ。

話し合って、やっぱり無理ってなった時にそのまま平和的に還ってくれればいいけど、キレて暴れる可能性もある。


【天地】の主要NPCが召還する者たちは、所謂「ガチ勢」だ。主人が一番、主至上主義。だから偽物を目の前にしてキレてもおかしくない。


そして主要NPCの召還する者たちは、基本的にめっちゃ強い。

イヴィがその最たる例だ。力が十全の状態なら、この世界の英雄クラスよりも強いのだから。


この世界の住人には荷が重すぎる存在だ。何かあった際は私が歯止め役として頑張らないといけないだろう。


暴れ出した場合は私が強制送還することになるんだろうけど、少しでも周囲に被害が出ないようにしなければならない。


そういうことを色々考えると、どうしても簡単に仲間を増やすという発想になれないんだよなぁ




ところで、私の計算が間違っていなければ、レベルアップで増量した分を差し引いてもMPが500ほど消費されてる気がするんだが……


もしかしてこれ、【モノマネ】を使用したから減ったのかな?



スキルを1回使用するだけで500もMPを持って行かれるとか、普通だったらコスパクソすぎてやってられないレベルだけど、

500消費することでシュレ様に変身できると考えたら、むしろめっちゃお安いと思う。


ラムダのレベルが上がればその分MPも増えて、モノマネの使用回数もどんどん増えるだろうし。


モノマネのMP消費が世界のマナの循環に役立つかは分からないけど、少なくともシュレ様に変身すれば

馬鹿みたいに膨大なMPを使用できるわけだし、他のキャラでもさもありなん。


まぁ兎に角、MP量の心配をする必要はまったく無いわけだね。





うーん、ここは早々に他のコスプレも試していかないとだな。

シュレ様は私の最推しだったからモノマネできたけど、他はできない可能性も否定できないし、その辺もはっきりしておかないと。



となると、自分の能力をある程度把握するまではまだ人前に出ない方が良いかも……

シュレ様モードのまま次の村とか町に立ち寄ったら、とんでもないことになりそうな気しかしない。


しばらくこの辺の森に身を潜めるか……?


幸いというべきか、この辺の森は街道に近いほど弱い、遠いほど強い魔物が出てくる。

そしてこの辺は言ってしまえば田舎、辺境の地なので、強者がほとんど存在しないため、無暗に森の奥へ来る者はいない。



なので森の奥の方に引っ込んでしまえば、簡単に身を隠すことができるのだ。

その分危険も増すが、シュレイグス様に敵うような強さの魔物は流石に居ないし、イヴィだっている。なんとかなるだろう。


さっきのフォレストボアも余裕で倒せたしね。イヴィでもあのレベルなら余裕でいけたはずだ。

なら、もう少し深めに潜っても大丈夫なはず。






そんな感じで今後について考えていると、イヴィが不思議そうな顔でこちらを見ているのに気がついた。


「どうしたの?」


「あ、いえ…主様がモノマネを解いてから、なんとなく主様が主様じゃないような……

繋がりは今でも感じているのです。ただ、【主従】という契約で結ばれた絆が感じられなくて…

シュレイグス様とは、別人のように見えるのです」



なるほど、距離縛りのことも考えると、イヴィにとって「シュレイグス」と「ラムダ」は別もの、という扱いになるんだろう。

まぁあれだけ見た目が違ったら別人扱いでもおかしくはないか。


「も、勿論、今の主様も私はお慕いしておりますよ?ただなんというか、違和感が……」

「あはは、無理しなくていいよ。言いたいことはなんとなく分かるから。……んー、じゃぁこうしよう。私が【シュレイグス】の時は、イヴィの主として、それ以外の時は、友人、あるいは仲間として接してくれると嬉しいかな」

「仲間、ですか…ですが私は主様の僕で……」

「私がいいって言ってるんだからいいの!ほら、今は【主様】じゃなくて、【ラムダ】って呼んで」


「は、はい………ラム、ダ」

「はーい!」


「…ふふっ…ラムダは、不思議な人ですね…」





あぁ~~~~ 私の部下(今は仲間)が可愛いんじゃ~~



なんだいそのちょっと困惑と安堵が入り混じったみたいな微笑み。かわいいが過ぎる。

美人系の顔なのに可愛い。天使かよ。いや悪魔だけど。


私を呼び捨てにするのは気が引けるみたいだけど、主様呼びしてる時よりも肩の力が抜けたように見えるので、これで対応は合ってるだろう。


呼び捨ては頑張って慣れて欲しい所存である。





さて。シュレ様コス以外が出来るかも含めて、今後の方針を決めていかないとだなぁ。

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