転職
そんなこんなでこの世界に来て1週間がたった。
訓練と勉強で中々忙しい生活だったが、おかげで色々な事が分かった。
順調に盗賊への道を歩んでいる。嫌だけど。
今日は朝から何やら忙しい雰囲気だ、何かあったようだ。
しかし下っぱの俺に出来る事はない。
とりあえず今日の訓練を片付けよう。
訓練を終えて休憩しているときにウィルさんがやって来た。
「よお、いいか?」
「大丈夫ですよ」
「ちょっと聞きたいんだがお前さん、商人に興味あるか?」
「はい?」
突然の話で変な返答をしてしまった。
「実はな、今日は朝からバタバタしてたろ?ちょっとした問題が起きてな、商人ギルドに潜入してた仲間が捕まっちまったんだ。そいつは何とか助けられたんだが、もう商人ギルドに戻れない。だから新しく誰かに商人ギルドに潜入して欲しいんだ。」
「それを俺がやるんですか?」
「いやなに、潜入って言っても忍び込む訳じゃあない、商人になって商人ギルドに入ってもらって情報を流して欲しいんだ。」
「それって俺に商人になれって事ですか?」
「まあ、表向きはそうだな。」
突然の話である、せっかく盗賊になるために訓練してきたのにとも思うが、血生臭い盗賊にならなくても良いってのは良い話な気もする。
「今は何かと人手不足でな、他に頼めるやつがいない、頼まれてくれないか?」
ウィルさんは本当に困っているようでかなり必死に頼んでいる、恩人にここまで頼まれては断れない。
「分かりました、やってみましょう。」
「そうか!やってくれるか!」
困っていたウィルさんの顔がとても嬉しそうな顔になった。
ちょっと良いことをした気分だ。
「そうと決まれば、早めに訓練を終わらせないとな!」
「え?」
俺はこの日から2倍以上の訓練を2週間もさせられた。
自ら墓穴を掘ってしまったのだった。