能力は無い
そんなこんなで盗賊ギルドで働く事になったわけだが、実際はどんなことをするのだろうか?
そもそも盗賊ギルドがどんなところかもよく知らない。
少し聞いてみようか。
「ウィルさん、盗賊ギルドって具体的には、どんなことをしてるんですか?」
「ん?そうだなぁ...まずはこのスラムの仕切りだな、この辺りはウチのシマだからな、ここら辺で悪さする奴は〆ないとな。」
マジかよ、ヤクザじゃん。
「それからウチのギルドは情報も売ってるからな、あっちこっちにウチのもんを送り込んでるな。」
それ、スパイですよね。
「勿論盗賊ギルドだからな、客からの依頼を受ける事もある。主に盗みとかだな。あんまり殺しは受けないんだ、依頼が被ったりして面倒だからな。」
ああ、盗みも殺しもやるんですか、終わったわ。
完全に裏のお仕事じゃねえか。
やるしかないとはいえ、いきなり裏稼業は無理だろ。
「まぁ、お前は下っぱだからな、そんな仕事は任せられない、まずは...訓練とここの下働きからだな。」
お?それなら出来そうだ。いきなり盗みしてこいとか言われなくて良かった。
「それと今後は名字を名乗るな、貴族と間違えられても面倒だし、そこら辺のチンピラ共は貴族が嫌いだからな、絡まれるぞ。そうだな、これからはコウと名乗れ。中々良いあだ名だろ?」
いや、そんなドヤ顔されても小学生の頃から呼ばれてたあだ名ですよ、ウィルさん。
だが確かに本名を名乗るよりかは良いかもしれない。
これからは盗賊ギルドで働くのだ、名前はなるべく隠した方が良いと思う。
「はい、今後はそうします。」
「仲間になったのに、なんだか堅いなぁ、まあいいか。」
ウィルさんが立ち上がり、周りに声をかける。
「皆、聞いてくれ!コイツは今日から仲間になる、コウだ!
何にも知らない素人だから皆が色々教えてやってくれ。」
「「「「「おう!!」」」」」
周りの人達から返事が帰ってくる、どうやら受け入れてもらえたようだ。
その後俺はギルドの2階にある、ギルド員用の宿舎に案内された。
明日から訓練が始まるので、今日は疲れもあるだろうし、休んでいろと言われた。
御言葉に甘えて部屋で寛がせて貰おう。
せっかく部屋で1人になれたので、この機会にやりたいことがある。
俺だって多少は異世界モノのアニメや小説なんかを見たことがある。
そうゆうモノには必ずテンプレってのがあるのだ。
手始めにまずは、「ステータスオープン」
............
そうだ、魔法!こうゆう異世界モノでは主人公は凄腕の魔法使いだったりするのだ!
「よし、炎よ出ろ!」
............
ハハハ、知ってたさ、神とかに会ったことないし、俺に特別な能力なんか無いって分かってた。
でも、言っておきたい。
テンプレ仕事しろ!!