05 村への襲撃①
何時もより短いです
7/25 ご指摘により修正しました
2018/02/03 一部変更しました。
2020/4/15 加筆修正を行いました。
2020/8/5 一部修正を行いました。
村長であるお父さんの説明を聞いて、これからやってくる客人についてはだいたい理解できた。やってくるのは帝国(?)の商人らしい……それしか情報がない。帝国がどんな国かも知らないので、警戒するしかやることがなさそうだ。
ちなみに僕たちが今いるのは客間……であろう少し豪華な部屋である……こんな部屋があるなんて知らなかった。
当の商人は今こちらに向かっているらしい。今のところ、不審な行動は無いし、やってくる人の馬車の中にも商人以外の生命反応はないらしい。
…そんなことを調べられる魔法もあるのね。僕の魔法は属性から考えるから、どうも当てはまらないものはイメージしにくいんだよなぁ…いっそのこと無属性みたいなのがあったらいいけど…
それと、見回り部隊が馬車の後方も調べたけれど、人は見つからなかったそうだ。まぁ、これなら軍事的心配? は大丈夫だろう……
「リア、お前も一緒にお話の場にいるけれど、なるべく喋らないでいてくれるかい?」
まあ、幼い子供が口を出したって何の意味もないし、混乱させるだけだろう……別に口を出す気もない。
「うん、わかった!」
「よし、いい子だ!」
お父さんはそう言って頭を撫でてきた。
精神年齢的に拒絶するはずなんだけど、親だからなのか逆に心地がいい。まあ、リアの記憶もあるんだろうが…
それに、喋るという程の大きさの声でなくとも、詠唱は成功するから、特に問題はない。無詠唱は相変わらず使えない…というか、この世界に存在するのかさえもわからないけれども。
それにしても、さっきから僕には馬車の走行音が聞こえるんだけど…この耳のよさもリアだけなのかな? それとも、種族としての特徴だろうか。
それと、僕の種族ってなんだろう…耳が長いからエルフって決めつけていたけれど…この世界でも耳が長いのがエルフって決まったわけじゃないし。それにリアの記憶の中には種族については何もないのだ。
それにしても来るの遅いなぁ…少し感知魔法で距離を調べてみよう。
…お父さんやその他の人達にバレないように…
「―――風 空気振動 拡散 条件付加 反射波収集 選別―――」
この魔法は、音(超音波)を拡散させて、その反射を感知して位置情報や周りの様子を知ることができる魔法だ。しかし、超音波といえど、障害物があればそこで反射してしまう。
そこで、魔法法則の出番である。
風属性はおそらく、空間に関するものも操作できる。というか、操作できている。だから、自分が欲しい情報…今回の場合は、自分と馬車の位置関係について…を得られるように改造できる。今回使の行使では、建物と森の木々を対象から外している。
因みに、この効果をもたらす詠唱の部分は「条件付加」だ。少し意味が異なっていても、自分のイメージを込めれば殆ど問題はない。
まぁ、「水」と唱えながら「火」を出すとかは無理だけれど…
魔法による計測の結果は、僕と馬車との間の直線距離はだいたい10km。かなり遠い…ていうか、化け物じみた聴力だな。しかも、余分な音を拾わないときた。なんとも便利な耳である。
さて、まだ馬車が来るのには時間があるみたいだから…なにをしようか。することがないや。まぁ、今回の馬車が襲撃とかだった場合の、攻撃魔法を使用するシミュレーションでもしておこうかな。まあ、目の前にお父さんがいるから、使わせてはくれないだろうけれどね…というか、お父さんは魔力を感知できるのかな? 試すと危ないから今度聞いてみよう。
それから魔法行使のシミュレーションにふけっていると、思ったより早く馬車がやってきた。
まあ、何もないことを祈るしかない。
―――――――――――――――――――
「はじめまして、スティル帝国の商人、ラムイズ・フェイスアウトと申します。本日は我が商会の取引に応じてくださり、ありがとうございます……」
商人がやってきた。さて、心を読んでみようかな…
「―――闇 精神 表層思考 読取 聴覚化―――」
ご主人様のためにご主人様のためにご主人様のためにご主人様のためにご主人様のためにご主人様のためにご主人様のためにご主人様のためにご主人様のためにご主人様のために…
「…っ!?」
頭に流れ込んできた内容の異様さに思わず魔法を中断する。これまで人の思考を読み取ってきたことがないので、通常の思考がどんなものかはわからないけれど……これはさすがに異様な気がする。
異常状態回復で治るのだろうか……物は試しだ。僕に注意は向いてないし、やってみよう。
「―――光 状態異常調査 回復―――」
…が、商人の様子に変化はない。幸いなことに、お父さんには気づかれなかった。まあ、心を読もうなんて誰も思わないだろうからね…
ラムイズとお父さんは、さっきまでいた応接用の部屋に向かう。このときも、商人には一切不審な挙動は見られなかった……
「…もう、何が何だかわかんないや…」
まあ、わかんなくても、お父さんにそばに控えていれば、危ないときに助けることができるかもしれない。ただ、また人を助けて自分が死ぬのはごめんだけど…
僕がいろいろ考えているうちに、商人とお父さんは話を進めて行く。話の内容は、取引内容についてだ。もう、取引自体については決定してしまったらしい。大丈夫なのかな…
取引内容は、食料と、魔道具…魔道具ってなんだろう。僕は魔法は使いはじめたけれど、魔道具とかそれっぽいものは見てないなぁ…
部屋の照明とか? そういうのがそうなんだろうかね…
そういえば村の鐘が魔道具だった気がする……多分だけれど。
お父さんはさっさと話を進めたいらしく、契約書を出すのを急かしている。まあ、何十年ぶりの人間の訪問らしいからね…って、取引の決定は何処でしたんだろ…もう、疑問だらけだな…そういう魔法があるということにしちゃえ! 無理があるけれど…
そうして、取り引き自体は済んだらしく、今回の馬車の中に積まれた荷物の買取についての話に移っている。内容は、干し肉と胡椒などの調味料のようだ。
こういう世界って調味料が高かったりするんだよね? この村にそんなにお金があるのかな…あ、物々交換らしい。まぁ、お金は見たことなかったし、村の中では使わないのだろう。
と、話が終わったみたいで、商人は外に出て、馬車の積荷を下ろしている。
そして、すぐに馬車に乗って帰って行った。
結局、ラムイズの思考内容については、どうしようもないので警戒だけしておくことにした。
ほんの少し更新ペースを上げます。まぁ、夏休みですから
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