04 村への訪問者
お久しぶりです
相変わらず更新が不安定ですいません…
2017/12/23 全体的に修正しました。
2020/03/29 加筆修正を行いました。
それから数日は、森での魔法の実験に暇な時間を費やした。それと、この世界について、集められるだけ集めることにもした。まあ、不自然な感じにならないように気を使って、だけれど。
魔法については、基本属性である、火、水、風、土、光、闇のすべてが使えるとわかった…ハイスペックすぎるよ、この体…そういえば神様の体…と言っていた気がする。
そして、この世界の情報については…基本的なこと…というか、日常生活の中で少しばかり気にすること程度しか調べることができなかった。リアの出身地であるこの村はなぜか閉鎖的なのだ。まあ、小説で出てくるエルフの里とかは、だいたい閉鎖的だからこれが普通の可能性もあるのだけれど…
それと、この里にはエルフ以外の種族がいない、ということも確定した。村長である父のガリルに聞いたのだから間違いは無いだろう。
それに、自分でも村を見て回って確認したし…
この世界についてわかったことは…時間については比較的簡単だった。けれど、やっぱり幼いからか、一般常識がほとんど身についていない。こんなただの幼女が今のように変わって、なんで怪しまれたりしないのだろうか…考えても仕方がないが、気になる……
日にちについては、ほとんど地球と変わらない…と思う。1年が12の月に分けられていて、一月は30日。閏年とかは無い。
因みに、学校は希望する場合10歳になってからしか通えないらしい。今現在学校に行っているこの村の子供はいないのだけれど…
僕は行きたい。寿命が長いであろうエルフのくせに、村から出ずに一生を過ごすとか、人間の精神を持った僕には無理な話である。
そして最後に、魔法についてだ。基本属性が火、水、風、土、光、闇なのはさっき言ったとおりだ。そして魔法の行使については…
まあ、詠唱短縮はうまくいった。詠唱は短くできても無詠唱ができないのはおそらく、詠唱が何かに対して指示をする役割をしているのだろう。そして、意味さえわかる内容であればどんなに短い詠唱でもいい……まぁそれが普通なのかは知らない。何せこの体である。
それに、兄達の魔法を使う場面を見ていても、詠唱を短縮している様子はないのだ(まあ、兄達を見て魔法を使っていたのだから当たり前)
僕に全属性への適性があったことについては…やっぱり女神の身体が元になっているからなのだろう…まあ、そのことは周りの人に秘密にしておけばいい。
全属性に適性があるやつが希少だということは、ほんの少しだけ理解できる。村の外のことは何も知らないので、正直どれだけ希少なのかは見当もつかないが。
そして、今日も森に向かって魔法の練習をしに行くつもりだったのだけれど…
「リア、今日はこの村にお客さんが来るそうだから、昼の1刻までには帰ってきてね。もし遅れたら…」
「う、うん! ちゃんと時間は守るから!」
こ、怖い(涙)…因みに、口調は戻せなかった。でも、もう慣れてしまった…慣れた…(泣)
結局僕は森に向かう。そういえば、村に来るのってどんなのだろう…どんな人ではなくて、どんなのだ。この世界で人間と同等の知性を持っているのは他にもたくさんいるらしいから。
一回森の奥に行ってトカゲに羽のついた存在…ドラゴンに会ったのだけれど…知性があってよかったと今でも思う。普通の日本人だったら、ドラゴンを見て興奮するのだろう…けれど、僕にはリアの記憶もあるから、そうはいかない。だからものすごく怯えたのだけれど…思考が単純になってしまったのか、「怯えなくてもいい」と言われるとすぐに立ち直った。幼さ故か……泣けてくる…
そのときに、この世界の常識や気になることについて聞いた。
そして、そのドラゴンは「叡智の龍」と言われているらしい…如何にも凄そうな、そして頭のよさそうな名前だな…と思ったら、「人間どもは我をSSSランクの討伐対象としておるらしい。危害を加えたことはないのだが…」と言っていた。SSSランクっていうのは、冒険者ギルドで制定された討伐難易度の最高のものらしい。すごいなぁ…
とはいえ、何もしていないのに討伐対象にされるのはなんだかかわいそうである。
それにしても、冒険者ギルドがあるのか…僕も冒険者になってみたいなぁ…………これはリアも考えることらしい…
あ、因みに「叡智の龍」さんに名前はないらしい。
龍さんに、名前をつけたい! って言ったら、「それは服従の意味だぞ? 戦うのか?」と脅された…威圧感ハンパなくて、少しちびった…泣
でも虚勢張って「じゃあ、強くなったらまた来る!」って言ったら、笑ってくれた。
案外優しかった……
このことは家族にも内緒にしてある。
と、それは置いておいて…
魔法の実験って言っても、最近は魔法のネタも尽きてきた。あとは、人族の街にある学校で学ぶしかないのだろうか。それに、自分で詠唱を作って発動させようとしても失敗しまくるやつとかもあるから…まあ、魔法の発動に必要な知識とかは僕は知らないからね…科学的な知識しかもっていないのだよ。リアが馬鹿だから…
今僕は6歳。学校には行けない…そして、魔法について教えてくれる人もいない…ああもう、手詰まりじゃん! そうだ! 今日来る人とかに教えてもらえたりするかな? できたらいいけれど…
今日も練習していたらすぐに時間が過ぎて行った。それに今日は何時もより2刻も早く帰らないといけないから…って、そろそろ時間だ!? 遅れないようにしないと! そろそろ昼の1刻だし!
必死で走ったおかげか、ギリギリ間に合った…僕が練習する場所から家までは意外に遠いのだ…
「リア、おかえりなさい」
「ただいま…」
「お母さん、今日は誰が来るの?」
「え? それはお父さんしか知らないわよ。多分、近くにある帝国の商人との交易の話じゃないかしら…………それにしても、なんだか嫌な予感がするわ…昔人族との交流を絶ったのも帝国人との争いが原因らしいし…」
「お母さん…?」
嫌な予感って…なんだか不穏…
「いえ、なんでもないわ。それじゃあ、お茶にでもしましょうか。まだ来るには時間があるみたいだし」
「あ、はーい!」
お茶の時間は僕にとって至福の時間である。魔法の実験の次に、だけれど。お母さん手作りのクッキーがたまらなく美味しい。まあ、紅茶の方の美味しさはリアになってもあまりよくわからないけれど…
そうしてお茶(僕はクッキー)を楽しんでいる間も、お母さんは不安そうな顔をしていた。僕が心配して声を掛けると、作り笑いを浮かべてくれたけれど…なんだか僕まで不安になってきた。
リアが昔お父さん(ガリル)に聞いた話では、ここ100年程の間は、人族はこの村に来ることはなかったらしい。それはますます不安になる…何もなければいいなぁ…
まあ、門限を早くされた状況からみて僕も一緒に会うのだろうし、心を読む魔法を使って思考を読めばいいだろう。危険だったら……対処のしようがないのだけれど。
僕の攻撃魔法はそこまで強くはない。なぜだかわからないのだけれど……好きな詠唱で好きなように扱えるのだけれど、出力だけはここ数日間の練習ではほとんど向上しなかったのだ……やはり習うのが一番なのだろうか。
心を読む魔法は、闇属性の魔法だ。難易度についてはよくわからない。
まあ、全て同じように扱えるし。
闇属性の魔法は、他の属性と比べて精神や状態異常(これは、毒を持つ植物の毒をくらってしまった時に、試しに――光 回復――と詠唱しても効果がなかったので、ゲームの知識から――光 状態異常回復―― と詠唱したら、毒の苦しさが消えたので、状態異常があることに気がついた)を与える効果に強く適応するみたいだ。
毒に関しては……おなかが空いたので目についた木の実を少し食べてしまっただけである。だけであるというほど軽い事態ではなかったのだけれど……危機管理がなっていないって絶対怒られるので、これも家族に秘密にしてある。
因みに、火属性は攻撃と熱、水属性は液体と水蒸気、風属性は大気や空気や空間、土は鉱物などの固体、光は治癒や状態異常の回復などに適応性がある。まあ、光属性と闇属性については自分自身での実験結果によるものだけど…
数日間の実験で一応いろいろとわかったので、きっと他人の心の内を読むこともできるだろうということで、詠唱を作った。
詠唱は ――闇 精神 表層思考 読取 聴覚化―― だ。地味に長い。というか、ある程度以上の効果をもたらす魔法は、詠唱が長くなる傾向がある。もしかしたら、詠唱が長い程、難易度が高くなるかもしれない。
そんな考え事をしていると、遠くの方からガタゴトと音が聞こえてきた。
……エルフって耳がいいらしい…
…さて、この嫌な予感が当たらなければいいけど…かなりの不安を感じながら、席を立ったお母さんについて行った。
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