2月10日(雪)
続いた。
雪の降る中帰ってく来ると、ぶっきらぼうというか無味乾燥系のお帰りが無かった。
毎日玄関先で待っていたというのに……。
まさか事故にあった!?
部屋の中へ駆け出す。
「おい、玉枝いるか!? 」
静まり返る室内、照明どころか暖房すら付いていない室内は心も体もさむざむしくさせてくる。
「おい、居ないのか! 」
「ん~、お帰り。もうそんな時間なんだね」
「たま……なんだそれ」
テーブルに二人の毛布やら布団やらが積まれている。
手作り炬燵というような風貌で、そこから玉枝が顔を出していた。
「えあこんが壊れたみたいで、点かない」
「それで……電気は消えてて、玉枝は寝てた訳ね」
それを聞いて玉枝がハッとした。
「夕飯作りそこねたよ、ごめん」
「それは今は、良いわ」
出前で済ます、もうこの雪の中は歩きたくない。
愛車が役立たずなんて、ファッキン大自然。
「で、エアコンな」
点かない、電源を抜き差す。 点かない。
「炬燵とか小さいファンヒーターとか買うしかないかなぁ」
「中、暖まってるよ。人肌だけど」
なんか妙にいやらしく聞こえるな。
「先に風呂入るから、出前の取り方は分かるか? 」
「耳の位置的に無理」
たしかに!
耳が上にあるのも困りもんだな。
「聞こえるけどね、耳良いから」
「外に放り出すぞ」
玉枝に手を伸ばすと、カタツムリのように簡易炬燵へ潜り込んだ。
「鬼! 悪魔! 彼氏! 時折優しい! 好き! ケンタッキー買ってきてくれる! 」
「お、おぅ」
なんだ、その変な罵倒は……体温上がるな……おい。
「じゃあ風呂出たら注文するから」
「了解、それまでお布団暖めとく」
わざとやってるだろう?
うん、照れるでしょ?
「うせーわタコ! もう寝ろ! 」
ひどいなぁ
■□■□■□
風呂から上がると既に、ピザが届いていた。
本当に掛けられてるし。
「私思ったんだよ、掛けて心に話しかければ余裕だと」
「変にピザの宅配で、犠牲者ふやしてんじゃねーよ」
てへぺろとか、やる辺り反省の色は見えない。
「ささ、中で食べよう。このマルゲリータ?凄く美味しい」
「先に我慢しきれないで、食ってんじゃねーか」
開けると3分の1程無い。
「我慢しきれない、なんてレベルじゃねーからな!!」
「つまみg「がっつり食べてるわ! 」……そんなに突っ込んで、突っ込みたい年頃かい? 」
「んな年頃ねー「だから童て……」年中突っ込みたいですーいつもプレイボーイだバカ野郎」
きゃっみたいな反応で、胸を隠してもうんともすんともこねーよ。
その能面無表情やめろ。
そんなこんなで、二人、かまくらのようにピザを食べ、今日だけは……最初から一緒に寝た。
尻尾が暖かすぎる。
俺にも冬場だけ欲しいわ。
続かない。