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レジスト×アセプト  作者: 新井分
7/8

第6話 螺旋階段

お久しぶりです。またゆっくりとですがやっていきます。

午後六時三十分。

湯川はもう立ち直っていた。それどころか、立ち上がった彼の目には怒りの炎が灯っていた。

くじでの悔しさも全て俺にぶつけるつもりのようだ。

校舎に入る順番はくじの番号と直結していた。

601番から五分おきに中に入るようだ。

俺に残された猶予は十分。

星川さんを巻き込まず、なるべく有利な環境を整えなければ…考えるんだ……


「…ま君?狭山君!もう時間だよ?」

「…えっ…?」

慌てて時間を見る。時計の長針はしっかりと9を指していた。

まずい…まだ考えがまとまってない……

「さ、狭山君…も、もしかして緊張してたりする?」

首をかしげながら星水さんが聞いてくる。

なぜだろう、星水さんの顔が少し青いように見える。

「せ、せっかくの肝試しだよ?た、たた楽しまなきゃ!」

……そう言ってる星水さんの足は笑っていた。

「…ありがとね、星水さん。」

「い、いいよ!いいよ!これくらい!」ぶんぶんと顔の前で手を横に振る。

星水さんのおかげか、頭はある程度スッキリした。

ここで考えを巡らせる時間は終わりだ。やってやる…

そして俺は星水さんと一緒に、校舎内へと入っていった……


午後六時五十五分。

長かった……本当に長かったよ狭山!ようやくお前にこの拳を上げられる!

時計の長針が11をさした瞬間、はやる気持ちを抑えつつ、ゆっくりと歩みを進めた。

「あ!ま、待ってよお!」

後ろからパートナーの声が聞こえてくる。だが狭山と決着をつける以上、足かせはいらない。

俺はそのまま、暗幕に覆われた入り口へ進んでいった。


暗幕をこえ、外とは異質の空間に迎えられる。こここは来賓用玄関のようだ。

注意深く観察したところ、左の壁にうっすらと校舎内の案内図が貼ってあった。どうやらこの校舎の構造が簡潔に書かれている見取り図のようだ。

おもむろに見取り図を写真に収める。「眩し!」という声がすぐ近くから聞こえる。他の人には申し訳ないが、狭山と決着をつける以上しょうがない事なのだ。

見取り図によると、校舎の両端に設置されている螺旋階段が移動の要となるようで、螺旋階段に挟まれる形で通路がまっすぐ伸びているようだ。両端の螺旋階段から2階と3階のみ空中廊下が別校舎に繋がっている。

今いる場所から数メートル進み左に曲がれば螺旋階段、右の通路には職員室と教室が並んでいる。ここの来賓用玄関は、広めの部屋と言ってもいいほど不自然だ。恐らく増築されたのであろう。

さて、ここで少し整理しよう。

この「肝試し」の性質上、恐らく部屋にはアイテムの位置を示すヒントが置かれているだろう。時間にも余裕を持たせてるはずだ。10分のタイムラグがあるとはいえ、狭山の性格的に星水さんを置いていくような真似はしないはず。関係がない人を巻き込むこともしたがらないだろう。ならば狭山が取る行動は…このどちらかのはずだ。①湯川だという事を確認してから奇襲。②湯川だという事を確認してから自分の仕掛けた罠にはめる。

罠の確率は低いが、一応いれておこう。

そしてこの2つには、共通してやらなければいけないことがある。監視だ。

しかし数メートル先までしか見えない暗闇の中、暗視スコープでもない限り監視する事は容易ではない。ならば…ペアを利用するしかない。

「おいお前」

「な、なによ?」

「あそこを左に曲がった所に階段がある。行こう」

「わ、分かったわ…」

よかった、不服そうな顔をしてるが行ってくれるようだ。

そう、こんな時は、上から監視した方がいいはずだ。通路だと気づかれる可能性が高い。

どこの階段から見てるかは分からないが、俺ならそうするはずだ。

そこを…狙う……

口角は自然とつり上がっていた。

覚悟しろ……狭山……

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