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レジスト×アセプト  作者: 新井分
1/8

〜プロローグ〜 0話

初めての投稿です。

右も左も分からない状況ですがよろしくお願いします。

『レジスト×アセプト』



プロローグ



「…ーー修也!早く起きなさい!時間よ!」


階下から母親の声が鳴り響く。時計を見ると7時をさしていた。

うるせえ、頭に響くから口を閉じろ。

「起きないなら起こしにいくわよー…」

…しょうがない、起きるとするか。


十分後に鳴る予定だった目覚ましを切り、眠い目をこすりながらカーテンを開ける。見渡す限りの曇天が一面に広がっていた。さすが梅雨だ。見る者を軽くブルーにさせる技術において彼の右に出る者はいないだろう。


階下からせかす声が聞こえてくる。修也は廊下へ歩みを進める。

静かな廊下を渡り階下に顔を出すと、待ってましたとばかりに母親の口撃が始まった。

「いい修也⁉︎今の時期は将来の事を考えると、と〜〜っても大事な時期なのよ!高校選びで大学、果ては就職にも響くわ。だから今のうちにーー…」

この手の話はすでに耳タコだ。俺は話を適当に聞き流しながら、目の前の目玉焼きと食パンを胃に流し込む事に没頭した。


若林市立光琳中学校 三年三組 狭山修也。なにを隠そう、この俺のことだ。

そして朝の静寂をかき消す五月蝿さを発揮してるのが目の前でグチグチ文句を言っている母親の狭山京子。よくいる教育ママの典型例だ。隙あらばいろいろな塾に通わせようとしてくる。

「……ーーって事もあって…って、私の話ちゃんと聞いてるわよね?」

聞いてないに決まってるじゃないか。誰がこんな話を好き好んで聞きたがるだろう。

「ーーああ…聞いてるよ…」軽くため息をつきながら定型文を答える。一番穏便に済ませられる便利な言葉だ。

「つまりね?私は思うわけよ。A高校も良いけどーー…」

気がつけば時計の長針は6を指していた。

あれだけ内申点に響くから…と言ってるくせに俺を遅刻させたいのか?

俺はちょくちょく生返事を返しながら食器を片付けて着替えを始めた。それでも母親のマシンガントークは終わる気配を見せない。面倒なので耳タコなラジオは聞き流しながら身支度を整える。

午前7時50分。今日も今まで通り俺の一日が始まる。俺は登校を始めた。



のどかな田園風景を尻目に校門をくぐる。

時刻は8時20分。始業ベルまであと10分という事もあり、まだ人はまばらで静かだ。

学校に早く来たところで特別なにかやることなどない。せいぜいポケットに忍ばせている小説を読むくらいだ。

「よう!今日も早いな修也!」

後ろから元気な声が聞こえる。

この声の主は松田弘明。通称、松明。その名の通り明るくて俺の親友だ。

「いつも遅刻ギリギリのお前にしては珍しく早いな………星水さんが狙いか?」

「な、ななな何言ってんだよ!!」字のごとく顔を真っ赤にしながら松田は慌てて否定する。ビンゴだな。

「ほ、ほら!!今日は俺が日直だからさ!!に、日直である以上…仕方ないよな⁉︎うん!」

仕方ない、ねえ……

もちろん俺は知っている。今日は松田と星水さんの二人が日直なんだ。やる事といっても、せいぜい共同で日誌を書いてプリントを配るだけ。だが、ウブな松田はそれだけで効果てきめんなわけで…このザマだ。しかも健康がウリなくせに若干目の下にクマができている。これは興奮して寝れなかったクチだな。

「おっはよ〜!」タイミングを狙ったかのごとく星水さんがクラスに入ってきた。

星水結衣さん。美人で人当たりも良く勉強もできる、俗にいう優等生だ。唯一の欠点は少しぬけているところか。(だがそれがいい!という人も多い。)現に今も日直だという事を忘れて一限の準備をしていた。

松田は日直のことについて自分から言いだせず、日誌を机の上においてわざとらしい咳払いをインフルエンザの患者並みにすることしかできていない。

このまま放置しておいても面白いが、松田が真っ青になって倒れてしまうのも困る。

仕方がないので、星水さんにそっと「今日の日直は星水さんと松田君だよ」と親切に教えた。

星水さんは日直だという事に気づいたようで、慌てて松田に謝りにいった。

すでに紫色になりつつあった松田も救われたようで、その顔は真っ赤に戻っていた。(これはこれで倒れそうだが)


その後は変わりなく授業が進み…気がつけば時刻は15時30分、終業のベルが鳴っていた。生徒の大半はゾンビのような足取りで家路を歩んでいく。

「--じゃあな修也!また明日!」

下校中、俺も松田と途中で別れ、我が家へゆっくりと足を進める。

明日も、明後日も、来週も、来月も…下校中の雑談をするために登校するのだろうか。

ここのところ、毎日空を見上げながら考える。俺は生きている意味はあるのか?俺がいなくても世界は回っているのだし俺はこの世から必要ないのでは?俺が消えたところで世間に影響あるか?

決して答えがでない疑問の数々。

ある日そんな修也に、小さな変化が訪れる。



プロローグ 終



いかがでしたでしょうか?

まだプロローグですので進展などは特にありません。

これからもどんどん書いて投稿していくつもりです。

何か意見や要望などございましたら、気軽に言ってください。確認次第対応いたします。

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