遭遇
「人間……?」
人がいるという事は、転送先は人が到底住めないような厳しい環境ではない事にほっと胸をなでおろす二城だが、他の二人の表情は依然として硬い。そんな三人の様子を順に見て、銀髪の男性が口を開く。
「……どうやら、この場のレベルにそぐわない人物が一名居るみたいですね」
よどみの無い、流暢な語り口だが、発せられた言葉は酷く冷たい。そしてローブから出て来たすらりと白く美しい腕を二城に向かって軽く振ると、すぐさまグラファイトが割り込んで盾を展開する。二城からは見えないが、盾の表面には凄まじい勢いで無数の斬撃の痕が刻まれていく。まるで聞いているだけで命を削られていくような恐ろしい音に、二城は危機感抱くと同時に、ある一つの確信を得る。この男性はこちらに対して明確な殺意を持った敵であると。
「その能力、あなた自身の力ではありませんね? 恐らくは、私の力に似たものが篭ったイマジン……」
グラファイトの盾を見た途端、能力を自前のものではないと見破り、更には戦闘そっちのけでよく分からない考察を始めた男性。
「真面目に――やりやがれ!」
戦闘行動をとろうとしない男性に対して、グラファイトは虚仮にされたと感じたようだ。一瞬で盾を消すとコートの中から複数のナイフの柄を取り出し、刃を形成すると同時に男性目掛け投擲する。
「なるほど、やはりあなたのイマジンは私の力に良く似ているようだ」
全てのナイフを紙一重でかわすと、いつの間にかローブの外に出ていた男性の手に虚空から現れた巨大なサイズが握られる。しかしそのサイズはおかしな形をしていた、二つのサイズが柄の部分で繋がっており、まるでアルファベットの「S」の字のようになっているのだ。
「さて、考察も終わった事だし、君達には消えてもらおうか」
そう言い、男性はあろうことかS字サイズを横向きにして投擲した。サイズには凄まじい回転がかかっているのか、まるで触れれば切れる円盤のようなものが迫ってくるように感じられ、最早サイズとは思えない。 S字サイズはまるでブーメランのように大きな弧を描き、一番後ろに控えて居たはずのフラーレンに襲い掛かるが、元々小柄なフラーレンは身を低くすることでそれを回避。続いてグラファイトはスライディングで自分からサイズの下のもぐりこみ、そこから安全地帯であるサイズの柄の部分を思いっきり蹴り上げた。その結果バランスが崩れたS字サイズは地面に突き刺さり、二城を襲う事はなくなった。
「ふむ、面倒ですね。しかし――むっ!?」
S字サイズを消し、咄嗟に盾を出して構えると、正面から重い衝撃が襲ってきた。
「中々の速さですね……」
グラファイトの手には、無骨な槍が握られていた。そしてそれを突き出すような構えを取っていることから、とった行動は振り降ろしではなく突き。槍のリーチを考えれば、先手を取ることは容易であろう。
「ありがと――さんっ!」
槍を引き戻し、裂帛の気合と共に周囲をなぎ払うように振る。一回転して再び盾へと叩きつけられる前に、槍の先端はぐにゃりと変形し、ハンマーへとその形状を変える。そしてグラファイトの体重と遠心力が乗った一撃が、男性の盾にすさまじい音を立てて叩きつけられる。盾こそ凹まなかったものの、これには男性も怯んだのか盾から手を離し、数歩後ずさる。
「今だ、フラーレン!」
「りょーかいっ!」
いつの間にか男性の後ろに回りこんでいたフラーレンが答えた。驚いてフラーレンの方を向く男性に満面の笑みを見せると、手甲から一枚の札を射出する。男性は咄嗟に右手を出して防御しようとしたが、その動作は空回りに終わる。男性の右手に当たる直前で札はピタリと空中に留まり、強く光り輝いた。そして次の瞬間、透明度の高い壁が男性の周りに出現した。結界に閉じ込められたのである。
「さて、どうする? いまなら降参も受け入れるが」
グラファイトのその言葉に、男性はそれがどうしたとでも言いたげな、余裕たっぷりの表情を見せる。その微笑のような形を作っていた口元が動き、言葉を紡ぐ。
「――この戒めを解除せよ、ディスペル」
言うが早いか、結界はガラスように砕かれ、その破片が光を乱反射させ、キラキラと光る。
「気が変わった、君達には痺れていてもらうよ。パラライズブロウ」
男性はそう呟くと、一瞬でフラーレンの背後を取り、首筋に右手で手刀を叩き込み昏倒させる。続いてグラファイトと相対する。「君達は選択肢を間違えた。結界など張らず、直接私に術式を叩き込んでいればよかった」
「忠告ありがとさん。けどよ、俺も同じように倒せると思ったら大間違いだぜ?」
グラファイトが特殊な構えを取る。攻めを捨て、守りとカウンターに徹する型だ。
「その必要は無い。それに、私の目的は君達を倒す事ではないのでね」
「何だと?」
男性はその場から消え、二城の背後に現れる。そしてフラーレンの時と同様に首筋に手刀を入れて昏倒させると、フラーレンのときとは違い、二城をその腕の中に抱きかかえる。
「いくら関係ないと言っても、君達がイレギュラーであることは確実。だからこの子は取引材料として貰っていこう。人質だと思ってくれれば良い、条件は私達の邪魔をしない事。そうすればこの少年の無事を約束し、私達の目的が達成された暁には返す。破格の条件ではないかね?」
男は、まるで演説でもしているような声音でグラファイトに語りかける。
「てめえの目的なんざ知らねえ。二城を返せ!」
だが、グラファイトはそれに応じず、コートの内側から双剣の柄を取り出して刃を形成すると、そのまま身を低くして男へと突っ込んでいく。攻めを捨てた型から一瞬で守りを捨てた型へ、様々な武器を使いこなし、更に魔法まで扱う。この変幻自在の戦闘スタイルがグラファイトの持ち味であった。
「ほう、人質を取られているというのにその判断力! 実に素晴らしい!」
男は顔に満面の笑みを浮かべ、二城を抱えた手とは逆の手にS字サイズを呼び出す。そしてそれを前に出し、素早く回転させることでグラファイトの斬撃を全て弾く。
「――だが、私には遠く及ばない」
男が指を鳴らす。するとその音に反応するように四つの魔法陣が現れ、そこから機械兵――先程、二城達がかすり傷すら付けることが出来なかった物だ――がわらわらと出てくる。
「……君が目的を知らないのなら良い、この少年の無事は無条件で保証しよう。私はこう見えても忙しいのでね、手っ取り早く行かせてもらうよ」
男は呼び出した機械兵に何かを囁くと、中央の一際大きな魔法陣の中に消えた。残された機械兵達は単調な電子音を響かせながら、お互いに向き合って原色の光を湛えるランプを明滅させている。男から告げられた命令の伝達を行っているのであろう。
「畜生が……っ!」 圧倒的な力の差を見せつけられ、精神的にも肉体的にも打ちのめされたグラファイトは、機械兵が情報伝達を行っている内に気絶しているフラーレンを部屋の隅に寝かせ、自らは能力で鎧と大剣を作り出す。
「最後に一矢……報いてやるよ!」
グラファイトは地を蹴り、一人機械兵の群れに特攻した。まずは速度と全体重を乗せた一閃を先頭の機械兵にお見舞いし、上下真っ二つに切断。続いて構えなおした大剣を大上段から振り下ろし、両腕以外は人型に酷似した機械兵の、頭部と思しき場所を破砕音を響かせて潰した。――あと六体。
(あと六体……いけるか?)
断線したために小さな火花をいくつも散らす機械兵の頭部から大剣を力一杯引き抜き、その勢いを利用して反対側に居る機械兵の胴を薙ぐ。
(くそっ、早く目を覚ましてくれ、フラーレン!)
フラーレンの方を見ようとして首を動かすグラファイトの視界の端に映ったのは、こちらに照準を合わせている機械兵の左腕。すぐさま動作を中断し、大剣を手放してバックステップで距離を取る。そのすぐ目の前を高速で横切った鉄製の矢に、思わず冷や汗をかく。
「う……、ん……」
「フラーレン! 目を覚ませ!」
バックステップで後ろに下がったことにより、フラーレンが気絶から回復しかけている兆候に気付いたグラファイトは、その場に腰を下ろし、全力で盾を展開した。前回盾を砕かれたのはただの時間稼ぎのため、今回は盾に密着し、欠損部を直ぐに補う態勢をとる。これで絶対とは言わないまでも、長時間持ちこたえられる自信がグラファイトにはあった。
「ん……はっ!?」
「フラーレン、話は後だ! 急いで帰還しろ!」
フラーレンは気絶する前と後でのあまりの状況の違いに混乱していたが、グラファイトの指示で落ち着きを取り戻し、帰還用の札を作動させてその場から消えた。
「……よし、俺も撤退するか。……二城、すまん。少し待っててくれ」
グラファイトはそう言うとポケットから札を取り出し、フラーレンと同じように消えた。
――そして帰還した二人を待っていた物は、効果が発揮されず、魔法陣から元に戻っていた帰還用の札だけであった。
――どれほどの間気絶していたのだろう。二城は自分の記憶を遡って考える。確か遺跡に行って、ロープを纏った男と遭遇したところまでは覚えている。
普通に考えれば、あの男は同業者だったのだろう。魔法陣から出てきたのは丁度荒らした帰りで、そこを俺達に見られてヤバいと思って襲いかかってきた。
……こう考えれば一応の筋は通る。俺は真っ先に戦闘不能になったが、団長あたりが誤解を解いて事態は丸く収まった。おかしなことは一つも無い。
二城は閉じていた瞼を上げて――訳が分からなくなった。目に飛び込んで来たのは、銀色の天井と薄緑色の壁という見たこともない風景。ここはどこだ? ギルドの治療室はこんなメタリックカラーではなく、もっと黄色っぽいはずだ。
あまりの急転直下ぶりに半ばパニックを起こしかけたところで、耳が何かの音を聞く。
「……という訳だ、よろしく頼む」
「ですが、こやつは……でしょう?」
「確かに……だ。しかし――ん? どうやら、目を覚ましたみたいだな」
途切れ途切れに聞こえる正体不明の音が声だと気付いた二城が跳ね起きると、遺跡で戦った男ともう一人の腰の曲がった老爺が起き上がった二城を見つめる。二人は間に机を挟んだ状態で椅子に腰掛けて対面していたのだが、今は起き上がった二城に二人の視線が向けられている。
「――っ! 俺の武器をどこへやった!」
二城は辺りを素早く見回し、自分が寝ていた場所が銀色の細長い楕円形のベッドであること、自分の武器が目に見える範囲に無いことに気付く。そして、天井付近には照明がなく、代わりに淡く光る薄緑色の部屋の壁が、明かりとしての役割を果たしていることも確かめた。
「まあ落ち着け、少年よ」
椅子に腰掛けていた老爺が、二城を落ち着かせようとして声をかける。しかし、未知の場所に連れてこられたことで、極度の緊張状態にある二城は、老爺に反発する。
「俺は子供じゃねえ! それに二城条って名前もある!」
「にじょう、じょう……。名前は漢字で書くのか?」
二城の言葉に反応したのは、老爺ではなく男だ。
「え? そうだけど……、何か関係あるのか?」 予想もしていなかった方向からの意外な質問に、二城は反応に困り、普通に答えてしまう。
「漢字表記に銃の所持……、南方大陸出身の人間だな」
「……何で、それを――?」
一発で出身地を見抜かれ、流石に狼狽える二城。しかし、狼狽えているのは二城だけではなかった。
「なっ、リオール! こやつ、銃を持っておったのか!?」
老爺も同様に狼狽えており、男――リオールは二城と老爺を落ち着かせるために説明を始める。
「何故、彼が南方大陸出身であることが分かったのか、これから説明します。まず南方大陸ですが、その名のとおり地上世界の南方に位置する大陸です――まあ、あくまでファシナシオ大陸を中心とした場合ですが。……と、話がそれましたね」
リオールは気まずくなったのか咳払いを一つすると、話を続ける。
「南方大陸は温暖な気候と、おおらかな政治体制が有名です。そして良く言えばおおらか、悪く言えばルーズな政治形態のために漢字を多用する公的文書が少なく、漢字離れが深刻化したため、人名に漢字を取り入れるようにしたのです。……間違いは無いかね?」
「……認めたくは無いが、当たってる」
二城は驚きを隠しきれずにいた。この男は南方大陸の漢字離れとそこに至る歴史を見事言い当ててみせた。ちなみにこの政策により、名前を紙に書けば南方出身である事が一発で判る。しかし、まだ銃についての説明はされていない。……これからされるのだろうか。
「次は銃についてだが、これは大陸の農業と関わってくる。南方大陸は一年を通して温暖な気候で、嵐等の天災などもまるで示し合わせたように避けて通る。そのためか動物達は巨大化し、記録の上では山と見紛うような巨龍も確認されている」
確かに二城は巨龍の話を学校で聞いた事がある。しかし周りの皆は昔の人が見間違えただけだろうと笑い話にしていた。現に居たとするなら、残骸なり何なりが残っているはずだと。結局二城もその話に納得し、一応の結論を得ていた。「そして巨大化したのは、何も肉食獣だけではない。植物と、それを食らう草食獣もあわせて巨大化し、やがて食い扶持を得られなかったものが人里を襲う。……小型の鹿ですら三メートルを越すのだ、大型になればどうなる事か。当然人に何ができるわけでもない、ただ畑が食い荒らされるのを眺めるだけだ。しかしそれで黙っているほど人間は甘くない。すぐにとは行かなかったが、近距離で圧倒的なパワーを持つ巨獣に対し、遠距離から確実に致命傷を与える事が出来る兵器を開発した。それが銃器の始まりだ」
……当たっている。一体この男はどこまで知っているのか。
「――最も、君が持っていたのは我々が危惧していたものとは違う、狩猟用の水平二連型の散弾銃だったがね」
リオールが語り終え、沈黙がその場を支配する。二城は内心で恐怖を覚える、この男は何処まで知っているのだろうかと。そして二城の沈黙を肯定と受け取ったのだろう、老爺が言葉を発した。
「なるほど、こやつが南方出身である事に対しては、疑いの余地は無いんじゃな?」
「はい。それと、彼は捕虜ではなく客として扱うように、皆の者に言って置いてください。人質としての価値をなくされては困るのでね」
人質や捕虜と言った言葉が聞こえるたびに顔をしかめる二城だが、現在二城が捕虜である事は紛れも無い事実である。
「『地底人』であるここの人々は、『地上人』である君を憎んでいる。しかし、ここ――機械都市に居る間は、君の安全を保証しよう」
そう言ってリオールは壁に付いたボタンを押す。さっきまで二城が寄りかかっていた壁が突如半透明になり、二城は驚いてそこから飛びのく。そうする事で目に入ってきた景色は、圧巻の一言だった。乱立するビル、区画整理され所々に緑がうかがえる町並み、レールの上を走る列車や上空を飛び回る乗り物。見たことの無い物で溢れかえった町並みは、二城の言葉を失わせるには充分すぎる効果を発揮した。
(……ん?) 食い入るように見つめていた二城は、ふとおかしな点に気づく。空飛ぶ車を追いかけている際に、うっかり太陽が視界に入ってしまったのだが、不思議な事にちっとも眩しくない。疑問を抱いた二城は恐る恐る太陽を直視するが、……全く問題ない。それを皮切りに視界を広げた二城は、次々に疑問点を見つけ出す。青く澄み渡り、雲がゆっくりと流れていく空。こんなにも低く感じたことはあっただろうか? 遠くに見える山並みが、のっぺりとして平面に見えたことがあるだろうか? どこまでも敷かれていたように見えたレールが、ある場所を境に人知れずトンネルに入っていることは?
「……気づいたかね? 地上と変わらないように見えるこの街が、『作り物』であることに。手を伸ばせば触れてしまう紛い物の空、ちゃちな太陽、歩いていく事ができない架空の山。全てスクリーンが見せる偽りの地上、太古の昔に地下へと追いやられた者達の想い出の地――」
『地上人』、『地底人』、『機械都市』……リオールが静かに、だが力強く二城の価値観――学校で皆と学んできた歴史――を打ち崩すような言葉を重ねていく。
「……嘘だ、嘘だ嘘だ嘘だ! 機械文明は、太古の昔に滅びたはず!」
頭を抱え、必死に否定の言葉を連ねる二城に、リオールが追い討ちをかける。
「ではこの景色は何だ? そう、かつての地上だ。……ここにいる民は? そう、かつての仲間だ。……何故地底に居るのか? 追いやられたのだ、そう、魔法使いの民に!」
とうとう座り込んでしまう二城。老爺はそれを悲しそうな目で見ている。そしてリオールの言葉は止まらない。
「全ては愚かな魔法使いの思い上がりだ。このままでは機械が世界を支配すると、あらぬ妄想に取り付かれた魔法使いが率いる軍に、我等は迫害されたのだ、魔法は全てを打ち砕き、破壊する」
そう言うリオールの目は酷く冷たく、表情は憎しみと侮蔑に満ちている。しかしそれは二城ではなく、過去の魔法使いに向けられたものだ。「我々は学者と技術者、そして非戦闘員である民間人を素早く集め、地下へと退避した。地下の環境は苛酷で、何人もの仲間が倒れていった。慢性的な飢え、付きまとう落盤、薄い酸素。全てが我等を苦しめた。――そして幾多の犠牲の上に出来上がったのが、この街だ」
「嘘だ……歴史では……」
最後の砦を守るかのように呟く二城だが、リオールはそれすら打ち砕くために二城に顔を近付け、耳元で囁く。
「その歴史すら偽りなのだ。――君達は、多大な犠牲の上に立っている」
その言葉に二城は――思考を放棄した。まず目を閉じる、これ以上傷つかない為に。続いて耳、これ以上えぐられない為に。そして意識、これ以上耐えられない為に――。
「……少々、やりすぎではないですか?」
気絶してしまった二城を抱きかかえ、ベッドへと横たえるリオールの背中に、老爺が静かに言う。
「いや、これ位が丁度良い。この少年の身の安全の為には、ここから出さない方が良いのは火を見るよりも明らかだ。ならば外出できないようにするのがベストだと思わないかね?」
「しかしリオール……対魔法兵器であるお前が、そこまでする必要があるのか?」
その言葉にリオールは立ち上がり、老爺のほうに向き直る。
「確かに私は対魔法兵器ですが、本来は『救世主』として造られました。そのため、人を殺せないようにプログラムされています」
その返答に、老爺は悲しそうな目をして俯くと、リオールに再度問う。
「……これから行くのか?」
「はい、メンテナンスの為に『教会』に行こうと思っています」
「そうか、……気をつけてな」
「はい」
短いやり取りの後、リオールは壁とほぼ見分けのつかないような自動ドアから出て行った。……そして、部屋には老爺と、静かに寝息を立てる二城だけが残された――。




