「数字は嘘をつかない」と繰り返すAI令嬢への婚約破棄
最近、諸先生方のAI小説のみわけかた的小説に感銘を受けて、自分でも書いてみちゃいました。
書くの難しかったですー。書き逃げごめんなさい!
先駆者の諸先生方、勝手に参戦して申し訳ない!
でもこのジャンルの小説、流行らないかなー、もっと読みたいなーって思いました!
広い心でお許しくださいませm(__)m」
「数字は嘘をつきませんわ」
親に押し付けられた婚約者であるアールティシアが言う。
執務机の前には我が領地の帳簿に様々な契約書。
税収等々、婚姻後ならともかく、単なる婚約者であるアールティシアにはまだ勝手に見られては困るのだが……。
「あなたの計算は間違っております」
更に淡々とアルテイシアは言った。
私はため息を吐く。
「あのね、アールティシア。君は私の婚約者だが、まだ妻ではない。勝手の執務室に入り、帳簿を見ないでくれないかな?」
「わたくしは間違ってはおりません。間違っているのはあなたの帳簿です」
更に淡々と紡がれる言葉。
私のため息が深くなる。
「話が通じていないのかな? 帳簿の計算がどうこうではなく、勝手に帳簿を見るなと言っているのだけれど? それにこの場所に君を呼んだのは、帳簿を見てもらうためではなく、婚約破棄に同意をしてもらいたいからなんだけど」
「**婚約破棄**ですか……本気ですか」
「もちろん本気だ。もう君とは付き合えない」
「二千二百六十七日も婚約を結んでいたのに整理するのですか」
何か月とか一年未満とか、おおざっぱな数字ではなく、きっちり何日で答えてくるあたりが気持ち悪い。ああ、もう嫌だ。
「アールティシア」
「はい」
「1+2×3+4の答えは?」
「13ですわ」
アールティシアは瞬時に答えた。
「違うね。正解は11」
私は正解を告げ、アールティシアの答えを否定した。
「間違っているのはあなたです。わたくしは正しい」
「いや、君は入力順に1と2を足して3にして、3と3をかけて9にして、その9に4を加えて13と計算した」
「はい、正しい計算方法です」
「いや、違う。普通は掛け算を先に計算するんだよ。2かける3で6、1と6と4を足して正解は11。数式全体を計算しないといけないんだ。つまり我が領の帳簿に間違いはない」
「あなたは間違っています、正しいのはわたくし」
自分のミスというものを認めないアールティシア。
「君に内蔵されているのは関数電卓ではないと聞いている。だから、順番通りに計算して、結果、数字にミスをする」
「わたくしはミスはしたしません。わたくしに内蔵されているAIは最新の……」
「新しい古いは問題じゃない。君は設定をやり直さないと駄目だね」
だが、私は設定をやり直すつもりはない。
もちろん婚約者というだけで、所有者ではないので設定を変更する権限もないが。
「私の両親は、流行りのAI令嬢を息子の婚約者にして、正しい帳簿付けをしていると自慢したいんだろうが……。親には悪いが、やっぱりどうもAI令嬢は気持ちが悪い。馬鹿でも阿呆でもいいから、血の通った普通のご令嬢を婚約者にしたい。私は跡継ぎをやめるとでも言って親を説得するか……」
椅子から立ち上がって、私は執務室を出て行こうとした。
ドアノブに手を伸ばす前に、ふと、アールティシアを振りかえれば。
「わたくしは間違っていない」
「わたくしは間違っていない」
「数字は嘘をつかない」
「数字は嘘をつかない」
淡々と、淡々と、繰り返していた。
終わり
*冒頭「勝手の執務室に入り、帳簿を見ないでくれないかな?」と主人公が言っているのに「この場所に君を呼んだのは」と矛盾があるのは仕様です。わざとです。




