再犯防止装置の装着
美咲が施設に入って三ヶ月後、新たな処置が施されることになった。
美咲はあまり態度が良くなく反省の兆しなし
失格者の烙印を押されたのだ
「本日から特別矯正プログラムを開始します」担当官の声は冷たく響いた。
美咲が連れ込まれたのは、かつて手術を受けたあの部屋よりもさらに暗く、無機質な空間だった。床は滑り止め加工されたコンクリートで、中央には手術台ではなく、刑務所の独房を思わせる金属製の箱型拘束具が据えられていた。
「最後通告です」担当官が書類を示した。「再度の違反行為は死刑相当と判断されます。これ以上の猶予はありません」
拒否権はなかった。美咲の細い腕が金属枠に固定され、脚は完全に開脚状態でロックされた。
「まず、外陰部の再生組織を完全に破壊します」
前回の処置で一旦平らになった傷口から、わずかに新しい皮膚組織が盛り上がっていた。そこに特殊な高周波焼灼器が当てられる。
「熱っ……」最初はそんな感覚だった。だがすぐに灼熱の針が神経を貫くような激痛に変わる。
「あ゛あ゛あ゛!」美咲の絶叫が室内にこだました。彼女の体は金属枠の中で狂ったように跳ね回ったが、拘束は微動だにしなかった。
肉が焼け焦げる独特の臭気が立ち込める。医師は冷静に温度調整しながら、再生しつつあった組織を炭化させていった。骨盤周辺の神経を直接焼いているため、痛みは脳髄まで突き刺さった。
やがて煙が上がるほど黒く焦げた組織片を、医師はメスで丁寧に削り取った。真皮層まで完全に破壊された跡地には、ただの醜い瘡蓋しか残らない。
「もう一度同じことをすれば、今度は腹腔内臓器まで焼きます」
## 不朽の烙印
次に取り出されたのは、赤熱した鉄製のスタンプだった。表面には巨大な×印が刻まれている。
「これが『再犯不可』の証明です」担当官が説明する。「あなたの生命が終わるまで消えることはありません」
最初は腹部。美咲の下腹部、ちょうど臍の直下に狙いが定められた。
「少々熱いですよ」医師が警告した瞬間、鉄の塊が押し付けられた。
「ぎゃあああっ!」あまりの衝撃に美咲の眼球が裏返りそうになる。皮膚が焼けつく音が聞こえるほどの高温だった。肉が溶けて泡立ち、骨格にまで達するのではないかと思える痛み。
同様の処置が臀部にも施された。椅子に腰掛ければ必ず×印が見えてしまう位置だ。
「これで終わりではありませんよ」担当官の笑みには嗜虐性が滲んでいた。
焼き印が冷めきらないうちに、次の処置が始まる。前回の手術以降、わずかに生えてきた陰毛を処理する番だった。
「レーザー脱毛では甘すぎるので」医師が取り出したのは、先端が磨耗した金属製のやすりだった。「古い手法ですが確実です」
美咲の肌の表面を覆う柔らかい産毛に、やすりが押し当てられる。その動きはゆっくりとしていて意図的だった。摩擦熱と細胞破壊の組み合わせは、麻酔なしでは想像を絶する苦痛を伴う。
「ひっ……あ…」焼け焦げた匂いと血の匂いが混じる。表面の角質が削ぎ落とされ、真皮まで剥き出しになった肌には、一生消えない凹凸が刻まれていった。
「最後に乳房の処理です」この時点ですでに美咲の意識は朦朧としていたが、局所麻酔が施された。
ただし麻酔は乳腺周辺のみ。中枢神経系は完全に覚醒したままだった。
「この薬剤は特殊です」医師が説明する。「乳腺組織を選択的に壊死させる特殊毒素です」
注射針が美咲の両胸に何十本も突き立てられる。そのたびに麻酔を通しても伝わる鈍い痛みを感じた。
「明日から数日間、腫れと熱感があるでしょう」医師の言葉通り、数時間後には美咲の乳房は赤く腫れ上がり、内部から膿が溜まっていった。
四日目には皮膚が水疱となり、八日目には組織全体が腐敗して崩れ落ち始めた。悪臭を放つ爛れた肉塊が床に落ちていく様子は、まるでスライムのようにグロテスクだった。
処置後二十日目、美咲の胸は平らな肌に戻っていた。かつてあった乳房の隆起は完全に消失し、ただ平坦な胸板と小さな乳頭跡だけが残されていた。
すべての処置が終わったとき、美咲はもう「人間」として認識できる姿ではなかった。顔だけが以前の面影を留めているだけで、体の大部分は傷跡と瘢痕組織に覆われていた。
「これから君は『零号囚人』として生涯を過ごすことになります」担当官が告げた。「再び社会に出ることは二度とないでしょう」
美咲の行く末は、地下最深部の監禁室に決定されていた。一日三食の最低限の食事と水分補給以外に何もない生活。
こうして一つの若き命が、国の「健全性維持」のために永遠の檻に閉じ込められたのだった。
これらの厳しい処置によって、美咲の肉体は二度と生殖能力を取り戻すことのない状態に陥った。彼女の体から女性らしさの象徴はことごとく奪い去られ、残ったのは無惨な傷跡と、消えない烙印だけだった。
この後、美咲は最下層の隔離区域へと移送されることになる。そこは生涯外部との接触を禁じられた領域であり、彼女の未来には救済の可能性など残されていなかった。
一方、彼女の元恋人である少年もまた厳しい運命を辿っていた。
睾丸摘出手術後、彼は重度の心理的トラウマと社会的孤立の中で生きることを強いられている。学校から追い出され、家族からも忌避された彼の行く末は未だ決まっていなかった。
すべてが終わって初めて分かることがある。それは、一つの選択ミスが人間の尊厳をどれほど容易く踏みにじることができるかということだ。
美咲と少年の例は、国家が過剰な介入を行うことで、どれほど多くの若者たちが犠牲になるかを物語っている。しかし、この恐ろしい現実はまだ終わっていない。次なる「処理」の対象者はすでに選別されつつあった……。
美咲と少年の一件は、国内メディアで大きく報道された。青少年健全育成法の必要性を主張する世論が高まる中、法改正案が議会に提出された。
「違反者に対する処罰の更なる強化」「早期発見のための全国民リスト化」「監視システムの大幅拡充」
法案審議の間、全国各地で似たような「事件」が表面化していった。




