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推しの推しは僕

作者: 林崎しんじ

陽キャのアタシと陰キャの私。


ラブコメ。

『プラトンの饗宴、オススメです』


「絶対に読む」

饗宴を借りよう、饗宴を。

推しのvtuberが好きなんだ、饗宴。

ファンとして、読み、全てを覚えなければならない。


そして、いつかは、僕の二次創作に、推しのイイネを…!




「うわっ、先輩何読んでるんですかー?」

「お前には関係ない本」

「失礼ですね、アタシだって本くらい読みますよ」

「どうだかな」

「で、今は何読んでるんですか? 薄いですね、短いヤツだー」

「教えない」

ちぇっ、と、後輩。


登校中、なぜか後輩が、からんでくる。

陽キャなくせに。

いつもからんでくるが放っておいてほしい。

僕は推しを理解したいのだ。

デビュー前日から推している、あのvtuberを。


「あっ、もしかして、推しですか?

また推しを理解したいってやつだ」

「当たり前だろ、それ以外に理由はない」

「二次創作、イイネもらいました?」

うん。

本当に、うざい。

いたずらっ子な目も、クソうざい。


僕の沈黙で悟り、ケラケラと陽キャの後輩は笑う。




「けど、アタシも本読みますよ?」

「知らない」

「じゃあ、教えましょう」

何も教えなくていいんだけどな、友達とタピオカでも飲んで登校してろよ。2025年の今でも流行っているかは知らないけど。


「チョッパ○は可愛い!」

「何も知らねえな、おい」


「えー、けど知ってますよ?

あと、それ以外の漫画も読むし、ラノベ? も読みます。異世界系の作品をラノベって言うんですよね? みんな異世界系、令嬢とか」

「はあ」

ため息しか出んわ。


まあ、僕も本はあんまり読まないけど。

でも、ラノベは色々あるってことくらいは知っている。


「推しを推せよ」

「アタシ陰キャ嫌いなんで」

はあ。

まったく、何で僕を毎日からかってくるんだ? 珍しいのか? 二次創作を必死でするのが珍しいのか? 珍獣なのか?


ああ、図書館が深夜も開いていれば。

饗宴を読むのに1日空いちゃったじゃないか。

プラトンの饗宴、何言ってるかわからないけど、理解しないとな。

推しからイイネをもらうために。




―真実


「配信だるい」

制服から私服に着替え、机にうなだれる。


雑談中心、ゲームは苦手だ、色々と苦手。


「本当に、饗宴よりもラノベを好きになりたい」

好きなものは選べない。ラノベの方が好きです、饗宴? わかんない。そっちの方が可愛いだろうに。文学語る子よりもラノベとかアニメ語る子の方が可愛いだろう。


陰キャの私を出したくて、vtuberになった。

正直、本当の私は好かれないと思っていた。

なのに、推しの先輩に推されている。


今頃、二次創作を書いているかもしれない。

けっ、誰がイイネしてやるもんか。


「陽キャの私を好きになって~」

陰キャの私なんか好きにならないでよ~。好きで陰キャやってる訳じゃないんだから~。



読んで頂き、ありがとうございました。

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