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ひつじの2人  作者: 島平
第一章
3/4

問題

 『自分の長所はなんですか?』という問に僕は、とても考えさせられた。周りの人に誇れる良いところは、僕にはあるのだろうか。部活に本腰を入れたこともないし、人より勉強が出来る訳でもない。


 「みんなは何を書くのだろう」


 というのも、帰りのHR(ホームルーム)で配られた、履歴書が原因である。その中の一つの難題だ。自分ではどうにも見つけられない。試しに隣の人に聞いてみるか――


 「ねぇ、誉。僕の長所ってなんだと思う?」


 「ん?何その質問。自己肯定感高めたいの?」


 質問の仕方を間違えた。なんだかすごくイタいやつになってしまった。


 「違う違う、履歴書の項目だよ。自分じゃ長所を見つけられなくて、誉なら僕の長所を知ってくれてるかなと」


 「そういう事ね。康平は、部活……はやってない、べんきょ…ん、ないね。康平は優しいよ!」


 なんだか泣きそうだ。そうか、誉でも、こんだけ長く一緒に居る誉でも分からないのか……泣きそうだ。


 「最大限取り繕った言葉ありがとうございました。長所無いようなので、人生諦めます。」


 「大袈裟だねー、でも本当に優しいよ。あとピアノが上手!」


 まぁ、今はそれだけでいいか。考えていくうちに、何か見つかるだろう。そう願うしか、今は出来ないな。


 「うん、とりあえずありがとう。今日部活?」


 「ううん、今日はオフ。一緒に帰ろ。」


 今日は、新学期のため午前で終わった。学校が早く終わるのは最高だ。でもまた授業のある日常に戻ると思うと……


 「これからまた授業が始まるから憂鬱?」


 「バレたか」


 誉は超能力者だったのか………そんな冗談はさておき。僕達二人は帰るため、教室を出て玄関へ向かう。そして、最短ルートの階段を下がろうとした時、廊下から大きな声で名前を呼ばれた。


 「康平!アンド誉!ちょっと待った!!」


 背のでかい、明らか運動部でうるさそうなのが走って来る。五十嵐(いがらし)朋也(ともや)。高校からの友人で、本当なら僕とは仲良くならない性格の男。入学した時、たまたま一緒のクラスで、面白そうだからという理由で、僕に話しかけてくれたのがきっかけ。ただ、明るく、人望の厚いとても良い奴だ。


 「一年の教室にも聞こえるぞその声量。なんかあったのか?」


 「あ、そっか、ごめんごめん。ちょっと2人に話したいことあって。」


 誉と目が合う。2人は面識があり、三人でご飯を食べに行ったりもする仲である。朋也の性格を多少は理解している。そんな僕らがなぜ目を合わせたのか、それは少し、朋也の焦り具合に困惑したからだ。


 「何があったの?」


 「俺になんかあった訳じゃないから大丈夫。ただ、なんか問題があったみたいでさ、2人に手伝って欲しくて」


 問題ね……僕にも今考えなきゃならない問題があるけどな……だけど、友人が手伝って欲しいと言っている。応えるのが筋だろう。


 「しょうがない、いいよ。誉も行く?」


 「もちろん。気になるもん」


 そうして、朋也に連れられ、問題のあるという場所に向かった。

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