1章
目が覚めた。今日も学校がある。
ふと鏡を見る。うん。今日も私はかわいい。
つい自分に見とれているといつの間にか時間ギリギリになっていたので、パンを咥えながら急いで家を飛び出した。
「まずいまずいまずいまずい。間に合わないって…」
今時白い息を吐きながら自転車で全力疾走する系女子高生なんて珍しいだろう。
きっと世界大会で優勝できるくらいの自転車テクを活用しながら近道をして学校にたどり着いた。
「おはよ~ん。今朝はずいぶんとギリギリでしたな。あと30秒でございますよ」
「おはよっ。ほんとに間に合ってよかったわ。小学校のころから継続してる遅刻なしの称号が剥奪されるとこだった」
声をかけてきたのは仲のいい子だった。それとなく会話をしておく。
席について一息つく。その時、担任が入ってきた。
結構ほんとにギリだったんだな…と思っていると担任がずんずんと近づいてくる。
「梔子さん、今日、日直。日誌、もらいに来てなかった」
「あ、ごめんなさーい…。あとで取りに行きまーす…」
そういうと担任の先生はスッと日誌を取り出した。
「持ってきた」
「ええ⁉先生ありがと~!愛してる‼」
先生は「結構マジで笑えないからやめてよ…」というとHRを始めた。
「先生ったら…素直じゃないんだから…」
ボソリとつぶやくと、後ろの席の子が肩をつついて本気で言ってる…?と囁いてきた。
もちろん本気ではないが、返答がめんどくさかった私は気づかないふりをした。
これが私の人生だ。なんとなくキャラを作ってなんとなく友達付き合いをしてなんとなく生きている。でも私はこの生き方に満足している。
そんな風にしか生きれないから。