1/1
婚約破棄
「セレーネ、僕と婚約破棄して欲しい。」
久しぶりに会った婚約者から挨拶より先に
言われたこの言葉。
別に驚きはなかった。
最近、そっけないと感じることも増えていた。
婚約者に似た人と他の女性が歩いているのを
見たこともあった。
「それはどういうことでしょうか、エイドリア様。」
「好きな人ができた。俺はアリシアと結婚する。」
アリシア様とは確か子爵家の養女だったはず。
「それで私と婚約破棄、ということですの?」
「君には悪いことをしたとおもっている。だが、俺は真実の愛を見つけてしまったのだ。」
「真実の愛、ですか。」
「ごめんなさいセレーネ様。でも、エイドを解放してあげて!」
いつの間にかアリシア様がわって入ってきた。
「解放?」
「エイドは完璧なあなたといつも比べられて、肩身の狭い思いをしてきたのよ。」
そんなことを言われても完璧な淑女となれと
言ったのはエイドリア様のほうじゃない。
肩身の狭い思いをするのが嫌なら
精一杯努力すればいいでしょ。
「僕は運命の愛に出会ってしまったのだ。セレーネ、本当にすまない。婚約を受け入れてくれないだろうか。」
真実の愛なのか運命の愛なのかどっちなのかしら。
いいえ、気にするのはそこではないわね。
「婚約破棄、お受けいたしますわ。どうかお幸せにエイドリア様。」




