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頭と体の乖離
周りの静かな生活音と違い、僕の耳の中を大きく掻き鳴らすアラーム。
とてもいい目覚めとは言えないが今日も重い体を持ち上げて向かうべき場所へ赴く。
食べることは嫌いじゃないはずの僕なのに起きる事が苦になった時から、朝のリビングに置いてある朝食はいつの間にか"観る物"へと変わっていた。
勉強をするために毎日、登校支援室へと足を運ぶ自分は、周りの同級生が学校に行く時間より少し遅れて外へ出る。
バス停まで長い道を歩かなければならない自分は、イヤホンを付けてラジオを聴きながら歩く。
「おはようございます、どうぞー」
朝からカンカン照りの中、ヘルメットを着用し、淡々と大規模な工事現場の入り口前を通る人々、入り口の中に入るトラックを仕分ける女の人がこう口走る。
街から離れた住宅街とは言え、何百世帯が住む住宅街の入り口付近で仕分けることはおろか、優しく人々に声かけをしている。
1人残らず挨拶をしている姿には朝から晩まであの女の人は何の生きる希望があるのか疑問に思ってしまう