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今世ではまさかの猫です。〜猫の手も借りたいようなので貸してみた〜  作者: 夢幻望
第一章《人外転生と転生者の出会いと冒険編》
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【53・魔物暴走】

さぁさぁ! やって来ました! 魔物暴走(スタン・ビート)! もう、テンプレすぎて楽しみすぎる!



「ちょっ、まっ、てっ、ぁだっ、〜っ!」



 やべっ、楽しみすぎてリューリ乗せて目的地に向かって走ってるの忘れてた。


 ま、まぁっ、もうすぐ着くし大丈夫でしょ! なんか、文句が聞こえるけど、気にしてたら楽しい楽しいテンプレイベントが始まってしまう。 出遅れて美味しいところを他の連中に持っていかれるのだけはいかないのだ!


 そんな事を思いながら目的地に着くと、見えてきた人間達の様子に間に合った。 と一安心しては、私の背中で呻き声を上げていたリューリの襟首を噛んで無理矢理、地面に降ろした。



「どうやら間に合ったみたいだねぇ」


「ふぐっ! っ〜……! アリアっ! もっとスピード落としてよーっ! あぁっ……気持ち悪っ……」


「まったく、軟弱だねぇ。そんなんじゃ周りに舐められるだけだよ? しっかりしな。」


「誰のせいだとっ……」



 ぶつぶつと文句を言うリューリを無視して私は辺りを見回した。 魔素の流れはこの森には似つかわしくないほど淀んでいる。 奥に見える小高い丘のように見えるのが、恐らく問題のダンジョンだろう。 いつ魔物暴走(スタンビート)が起こってもおかしくない。


 集まっていた人間達の輪から、一人のいかにも冒険者ですっていうような風格をもったスキンヘッドのおっさんが私達の元にやって来た。



「お前達も今回の討伐の参加者か?」


「は、はいっ!」


「んー……。お前はテイマーか。そっちの魔物はフォレストキャットか?」


「あ、いえ……アリアは……」


「ちょいと、この私をフォレストキャットだと?お前さん、どうやら死にたいらしいねぇ。 どこをどうみたらあんな小物に見えるのさ。 私はフェアり…ふががっ!」



 おっさんの言葉にカチンと来て文句を言おうとしたが、リューリによって私の口は塞がれた。 ねぇ、こんな事前にもあった気がするけど、気のせいかな?


 リューリは、両手で私の口を塞ぎながら私を見上げて念話で怒ってきたが、なんというかカッコ可愛いっ……! それにしても、段々と遠慮が無くなってきたねこの子。 最初はあんなにビクついたりオドオドしてたのに……。


『アリア! 一々怒らない! 勘違いしてくれてるならその方がいいじゃないか!』


『はぁっ?! このフェアリアルキャットの私を見てフォレストキャットとか言ったんだよっ?! 冗談じゃない! リューリはフォレストキャットがどんな魔物か知らないのっ?!』


『図鑑で見たから知ってるよ! ほぼトラの見た目で一角獣のやつ! 小物って言うけど、危険度Aなんだけど?!』


『そんな危険度なんて私からしたら小物で十分だよ! わかってるなら私とあんなの(フォレストキャット)を間違えるなんて冗談じゃない!』


『我慢してってば! ここで無闇にアリアが怒って暴れたら「例の報酬」どころか僕たちが追われる立場になるって!』


『ぅぐっ!……うぅぅっ。 こんな事でアレが手に入らないのは痛い……』


『でしょ? だから、ここは我慢だ』


 「例の報酬」 それは、精米した米及び入手先の情報と精米の仕方。


 私達が今回の魔物暴走(スタンビート)の鎮圧に協力する為にリューリが国王様から取り付けた報酬なのだ。


 私は報酬もないし興味も無かった為、最初はやる気がなく面倒いと思っていたが、人の優しいリューリは違った。 困ってるみたいだし、出来る限り手助けしたいと……。


『こ、米の為……。 はぁぁーーーっ。 仕方ない。』


『おっもいため息……ははっ……』



「お、おい。大丈夫か?坊主にはまだ魔物暴走(スタンビート)鎮圧は早かったんじゃないか?」



 どうやら念話で話をしていたのを心配してか、スキンヘッドのおっさんは私達というよりリューリを心配してきたが、私達はチラッと目線を合わせリューリは手を私の口から離すと苦笑いをして挨拶をした。



「だ、大丈夫っ! アリアがいきなりすみません!」


「い、いや、魔獣が人語を話した事に驚きはしたが、何か俺が悪かったんだろ? 気にすんな! とりあえず、お前たちで最後だろうからあっちに居る連中に顔合わせしといた方がいい。 行くぞ?」



 そう言っておっさんに連れられ私達は冒険者が集まっている場所へと合流した。


読んで下さった方々、ありがとうございます!


稚拙な文章で読みにくかったり、誤字脱字があったりすると思いますが、温かーく、優しーく見守ってくださいませ(笑)


大変長らくお待たせしました(滝汗)

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少ないですが、番外編も合わせてどうぞ!

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