【51・ショクジカイ続】
「あー、では久しぶりの友と再会とアリア様との出会いに乾杯!」
それぞれが席に落ち着くと国王様の音頭で始まった食事会。
豪華な料理や見た事のない料理に目移りしながらリューリは食べていると、ふとアリアの様子が気になり、床に白いクロスが敷かれ料理が並べられた一角に目を向けたが、後悔した。
(あの、バカ猫! いつの間にあんなに食べてたの?!)
最初は自分の隣に居たが、食べづらいと言って特別にあの一角に用意された料理はこちらに並んでいたものとほぼ同じ。量も同じだ。
なのに、食べるスピードが異常だ。
『アリア! 食べるの早すぎだよ!』
『んぐっ! はぁっー。 びっくりしたぁ……。五月蝿いねぇ。 そっちはテーブルマナーとか気にしなくちゃならないだろうが、私には関係ないね。食べたい物を好きなだけ、好きなように食べるだけさ』
香草焼きの肉に器用に爪で串刺しをして、あーんと1口でペロリと平らげるそのマナーなど関係ない姿に何故かイラッと来た僕は悪くない。
僕だっていつもみたいにガッツリ食べたいっ! でも、それは一貴族の息子として出来ないし、ずるく感じた。
さすがは王宮と言うべきか食べる物全てが美味しく見た事のない料理まである。なんと言っても、パエリアのような米を使った料理まである。食感も米だ。食べた瞬間、その食感と香りに驚いた。
『アリアっ!これ、米だよっ!?』
『むっ?!あぁ、間違いない!ここには米料理がありそうだよ!やったじゃないか!』
僕たちは互いに目を合わせて念話で会話した。
そして、父さん達の会話を聞き流しながら食べ進めていると、国王様が先程までの快活な笑いを引き締め真剣な表情をしながら話を始めた。
「ところで、リカルド。少し頼みたい事があるんだが、いいか?」
「頼みたい事?お前がそういうなんて珍しいな。何かあったのか?」
「あー……。本来なら冒険者ギルドと王城兵士でなんとかするんだが、少しばかり厄介な事があってよぉ…。 俺が動きたいんだが、そうもいかねぇ。【魔物暴走】が起こりそうだ」
「なっ?!周期が近いのか?」
「あぁ、王都周辺には2つのダンジョンがあるのは知ってんだろ? 今、その他にもうひとつ、最近出来たダンジョンがある。その3ヶ所で起こりそうなんだ」
「最近出来たダンジョンか……。厄介だな。ギルドはなんて?」
米について質問しようとしたけど、父さん達の話し合いに割って入れない。 というより、魔物暴走ってなに?
『へぇ。久しぶりに聞くねぇ。』
『あ、アリアは知っているの?』
父さん達の深刻そうな空気に何かヤバい事が起こっている事はわかるが、いまいち分からない。 いつの間にか僕の足元にやってきたアリアの念話に内心驚いたが、アリアさん? その手に持つワインはなに? 思わず、ツッコミそうになったが、堪えていると父さん達は当たり前のように話を進めていた。 え? これって常識的な事なの? なんか、王子様も王妃様も話している内容がわかっているのか、僅かに眉を寄せているんだけど? わかってないの僕だけ? あれ?
『……魔物暴走。簡単に言うとダンジョン内にいる魔物の数が異常に増えて外に溢れ出す現象さ。そして、本能のおもむくままに破壊と蹂躙をする。厄介なのは魔力がその個体には不釣り合い程、異常に保有しているせいで、魔力暴走も仕掛けてるからねぇ。下手に時間をかければドカンさ。』
『……っ、つまり、時限爆弾を抱えた魔物が大量発生?』
『あぁ、そういう事さ。ただし、ダンジョンはあちこちにあるが、それぞれ魔物暴走が起こるには周期があり前兆もある。余程のバカをしない限り、対策はされているはずさ。 ただし、今回は違うようだねぇ。』
アリアの話と父さん達の会話をまとめて簡単に言えば、人手が足りないのと出来たばかりのダンジョンは前兆のせいで魔素が濃く中々思うように探索が進まないらしい。
「……俺が居てもそれでも間に合わないぞ?」
「おいおい、お前らには心強い味方が居るじゃねぇか」
ちょっと、こっちを見ないで。 ものすごく嫌な予感がするのは気のせいだと思いたい。
読んで下さった方々、ありがとうございます!
稚拙な文章で読みにくかったり、誤字脱字があったりすると思いますが、温かーく、優しーく見守ってくださいませ(笑)
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