【51・ショクジカイ】
煩わしい謁見も終わり、私は美味しい食事を楽しみに微睡んでいた。同様に、リューリとリカルドも休憩していたが、静かなノック音が聞こえた瞬間、2人は急いで身なりを整えた。
「どうぞ」
リカルドが声を掛けると、入ってきたのは綺麗に後ろで三つ編みにした栗色の髪を持つ、キリッとした表情のメイドだった。
「お休み中、申し訳ございません。お食事のご用意が整いましたので、ご案内いたします。」
メイドらしい恭しい挨拶をすると、私達を国王様方の住まう宮殿へと先導した。
「こちらで、国王様方がお待ちでございます。」
とメイドが言うと、私たちはその場に立ち止まった。メイドの動作は、王宮に仕えるメイドらしい洗練されたものだと思う。 だって、そんな詳しい事知らないもん。
「どんな美味しいご飯だろうねぇ。」
「アリア……。 あまりがっつかないでよ?」
私が楽しみでそう零すとリューリは呆れたように注意してきたが、そんなもの知らない。 そんな会話をしていると、内側から重厚そうな扉が開いた。
「遅くなって悪りぃな! なんせ、重鎮共があれこれうるさくて、参ったぜ。」
扉が開き聞こえて来た声に国王様だとすぐにわかったが、口調があまりにも違い過ぎる。
私が思わず固まっていると、リカルドからため息が聞こえてきた。
「はぁ……。おい、もう少し、さっきまでの外面を被っとけ」
「ぁん? やだね。 そんな事より、さっさとこっちに座れ。 やぁっと、気兼ねなく話せんだ。リューリ、アリア。嫌いなもんあったら遠慮なく言えよ?」
なんか、服装はさっきまでとは違ってラフだけど、素材が違う。 流石、王室って感じなのに、口調が冒険者並に悪い。誰だこれ?
「あなた、リカルド様は慣れていらっしゃるからいいですが、リューリ様達をご覧なさい。あなたの態度に呆れてますよ?」
うん。王妃様、容赦ないね。思ってないと言えば嘘になるけど、言葉に棘を感じるよ。
「おい。お前の言葉に棘を感じたのは気の所為か?」
「あら? その軽い頭でもご理解出来まして? 素晴らしいわ!」
「……このやろっ」
「いい加減にしろ! 相変わらずだな。お前達は……」
いきなり始まった夫婦喧嘩? に止めに入ったのはリカルド。 なんか、色んな意味ですごい。
「リューリ、席に座るぞ。 アリア殿はリューリの隣でいいかな?」
リカルドに促されるまま私達は返事をして、テーブルに着くと、リューリの前には王子様。リカルドの前には国王様、私の前には王妃様となった。
「言っとくけど、生肉は嫌だよ?アンタらと同じ食事で構わないさね」
「へぇ。意外じゃねぇか。 おい、調理室に伝えとけよ?」
「畏まりました」
忘れちゃならない。生肉拒否宣言。
国王様は私の言葉を自身の後ろに控えていたメイドさんに言うとメイドさんは律儀に頭を私に向かって下げると、居なくなった。
「昔は食べてたけど、リューリが料理したのを食べたら生肉なんて無理さね」
「そんなに、リューリは料理が上手いのか?」
「あぁ、サンドイッチや甘い物は良いねぇ」
私の話に食いつくように国王様は色々聞いてきたので、隠す事なく話を続ける。
「ちょっ、アリア?! 恥ずかしいから止めてよっ!」
「ふがっ?! ぶふっ」
「さんどいっち? その食べ物どんな食べ物だ?」
国王様は聞きなれない料理なのか気になって聞いてきたが、リューリに口を塞がれ答えられない。
てか、本気で苦しくなってきたんだけど!
「ぶっ、ぷはっ! はぁっ、はぁっ、殺す気かい!?」
「いてっ! ご、ごめん! そんなつもり無かったって!」
リューリの手を猫パンチで剥がすと毛を逆立てリューリに猛抗議。あー…。苦しかった。
読んで下さった方々、ありがとうございます!
稚拙な文章で読みにくかったり、誤字脱字があったりすると思いますが、温かーく、優しーく見守ってくださいませ(笑)
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少ないですが、番外編も合わせてどうぞ!




