【44・ソロッタ】
「……あれは?」
「それが、私にも使い道がよく分からなくてね?知り合いの東の国の商人さんが、私にわけてくれたのよ。魔物さんの話からたぶん、それがそうじゃないかね?」
「リューリ、どう?」
「うーん。…… 開けて見てもいい?」
「えぇ、いいわよ」
おばあちゃんの話では、東の国の商人さんは年に数回、行商に来るらしくいつも来たらお世話になっているようだ。ここのしょう油や味噌もその行商がまとめ買いをするらしい。
「マジか……」
リューリが中身を確認していると、その中を見たリューリはポツリと呟いた。どうしたのだろうと、覗き込むとそこに見えたのは、玄米のままの米。
「あらー……。まさかの玄米状態。この見た目じゃ食べられるかなんて分かるわけないじゃないか」
「栄養は高いし、このままの方が保存も効くけど、確かに見た目がね」
「どうする?いくら私でも玄米を精米するなんて方法は知らないよ?そもそも、フェアリアルキャットとしては食べなくても問題ないし」
「じゃぁ、要らないの?せっかく、玄米だけど米があるのに」
「うぬぅぅ……。私的には食べたい!このまま炊く?」
「うーん……。僕的には白いのが食べたいからなぁ」
二人してコソコソと話をしてどうするかと話をしていると、お婆さんは心配になったのか私達に近付いてきた。
「それは、違っていたの?」
「ぇ、えっと……。合っていると言えば合っているんですが、この状態から更に美味しくする為にはどうしようかと話をしていたんです」
「その黄色っぽいのが食べられるのかい?本当に?」
お婆さんの反応はもっともだ。特に米という穀物を食べた事も見た事もない人なら余計にそうなる。
さて、どうするか……。
記憶を辿りふと思い出したのは、実家の近所の稲作農家の爺さんだ。昔話をうちの婆ちゃんとしてた時の会話を思い出した。
『昔はなぁー。あんな立派な機械なんてなくて、えらい大変だったもんだ』
『そうそう。全部、手作業で手間も時間も掛かったもんよ。戦時中なんて白米を食べるためには、酒の空瓶に入れて棒でついた事もあったよ』
『キヌさんもかい。子供らの仕事だーって言われてたよな。兄弟で交代してよくやったよ』
………… これだぁー!!
婆ちゃん、ゲン爺さん。ありがとうー!!なんか、水車でも出来てたとかなんか言ってたけど、今は無理!風魔法で出来ないかなとか思ったけど、吹き飛ばす未来しか見えない。
「リューリ。一つだけ思い出した方法がある。ただ、かなり根気と時間がかかる方法。風魔法で出来ないか私も探ってみるけど、量的には厳しいからねぇ」
「根気と時間?」
「あぁ、その為には……。婆さん、空のしょう油瓶が一本欲しいんだけど、いいかい?」
思い出した方法をやるにはとにかく根気と時間、体力も必要になってくる。それを聞いて不思議そうにしながらも、リューリは頷いた。
お婆ちゃんをみて必要な空瓶を貰って、あと必要なのは一本の棒だ。まぁ、これはそこら辺の木かキッチンから拝借すればいい。
「一体どんな方法なの?」
「まぁ、それは後で説明するさね。とりあえず、しょう油と味噌を買うんだろう?」
「う、うん。なんか、ニヤついてる気がして恐いんだけど?」
「いいからいいから」
訝しげに私をみるリューリを誤魔化すように頭でさっさと買ってこいというように押すと、リューリはレジへとお婆さんと一緒に玄米が入った小さな麻袋を片手に向かっていった。
「はぁ……。色々とすみません」
「いいんだよ。ふふっ……。それにしても仲がいいのねぇ。しょう油を2本、味噌を1袋でいいかしら?」
「え?あの、これは……?」
「それならあげるよ。私にはよく分からない物だから。もし、それが貴方たちの捜し物なら見つかって良かったね。あと、はいこれ。空瓶よ」
「あ、ありがとうございます」
「さぁ、代金は金貨3枚と銀貨4枚。少し高いけど値引きは出来ないよ?」
確かに高い。だが、しょう油と味噌のためだから仕方ない。
それに、お婆さんから玄米という私たちにとっては宝の原石まで貰ったのだ。お礼は言っても文句なんて言うつもりはない。贔屓にしたいくらいだしね。
私はリューリの後ろからその様子を見ながらそんな事を思った。
読んで下さった方々、ありがとうございます!
稚拙な文章で読みにくかったり、誤字脱字があったりすると思いますが、温かーく、優しーく見守ってくださいませ(笑)
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