【32・旅のハジマリ】
私とリカルドから確認を取ると、リューリはさっそくとばかり準備を始めようと言って出て行くのを着いて行こうとした。
ただし、念は押さないとね?
「リカルド、今一度言っておくよ?私の事を利用しようとしたら、国が相手だろうと関係ない。潰すからね?」
「あ、あぁ、分かってますよ」
凄むように唸りながら言うとリカルドは冷や汗を流しながら頷いた。
「アリアー!置いてくよー?」
遠くで私を呼ぶリューリに返事をすると、後を追いかけ部屋を出た。
「王都かぁー…。僕、初めてなんだよねー…。アリアは王都がどんな所か知ってる?」
「あのねぇ。幾ら私でも知るわけないだろう?そもそも、フェアリアルキャットからすれば、こうして人間と過ごす事自体初めてなんだから」
部屋に戻る道すがら話をしていると、執事さんがやって来た。どうしたのかと二人で顔を見合わせていると、私達の前で立ち止まり深々と挨拶をしてきた。
「………坊っちゃま、僭越ながらお手伝いするようにと旦那様からことづかりました」
「おや、それは有難いねぇ」
「バロッサさん!よろしくお願いします!」
こうして、執事さんのアドバイスを聞きながら準備にリューリは明け暮れ、私はその間に魔素の森へと狩りに行ったりとして三日後の朝、私達は朝靄で霞むこのライヘン邸をでたのだった。
♢♢♢♢
リューリとリカルドを乗せて私は王都へと向かうが、道なんて知らない私はリカルドに言われるがまま街道を軽く走った。といっても、馬車よりは早く、単騎の騎馬並のスピードで走るので、それなりに速いらしい。
「……アリア、そろそろ休憩にする?」
何かお決まりのテンプレでも起きないかなー?と思いながら走っていると、リューリから声をかけられた。
「日もだいぶ上がってきたねぇ。構わないよ」
「そうですね……。あぁ、あそこに丁度いい木陰があります。あそこで休みましょう」
私はスピードを緩めて歩き始めると、リカルドが街道から少し離れた木々を見つけたので、そこで休憩となった。
「さて、お昼は何にしようかな?」
「肉!『ハンバーグのタネを作ってたでしょ?それに硬いパンをパン粉にしてメンチカツ!あと、ラズベリーパイ!』」
「うーん。父さん、この黒パン貰うよ?『分かった、分かった』」
「お昼はリューリの手作りか。構わないが、どうするんだ?」
調理室で今回の旅の食料をいっぱい作ってたの知ってるんだからね!なんせ、私が魔素の森でいっぱい狩って来たし、なんとその途中でラズベリーをいっぱい見つけたの!ちゃんと鑑定したから間違いない!
リューリはアイテムボックスから調理に必要な物を出して調理を始めると、邪魔にならないようリカルドの元に私は移動した。
「……まさか、旅先で出来たてを食べられるとは思ってなかった」
二人でリューリの後ろ姿を見ているとリカルドは感慨ふかそうにそう言った。
「リューリは元々、料理が得意なようだったからね。魔力コントロールのついでにあぁやって、細かい魔法を使い慣らさせたのさ」
「魔法といえば、攻撃や回復とばかり思ってました」
伏せながら欠伸をして出来上がりを待ちながら会話を続けた。まぁ、魔法って聞いたら大抵はそうだよね?でも、使い方次第なんだよ。
「人間は料理とやらをする時、魔石に魔力を込めて使うだろ?それを魔石無しに自分で料理に必要な分だけの魔力を使って、炎や水を使うのさ。細かなコントロールが必要な分、難しいが使いこなせれば、色々と便利なんだよ」
あぁ、いい匂い……。早く食べたい。リューリがメンチカツをどんどん揚げていき、美味しそうな香り。
「うーむ。中々、聞く限りは難しいものでもないですね」
「そうかい。だが、アンタは剣士だろ?使わないんじゃないかねぇ」
「ははっ!魔法はどうも苦手でして」
そんな会話をしていると料理が出来上がった。私の前には大量のメンチカツサンドとラズベリーパイ1ホール。待ってましたー!
出来たてのメンチカツサンドをそれぞれ手にしていざ、いただきまーす!
「「美味い!」」
「サクサクッとした食感で中から肉汁が溢れて来る!」
「この味この味!」
「良かったー!」
私とリカルドが食べる待っていたリューリは私達の言葉に満面の笑顔をみせて自身も食べ始めた。
デザートはというと、これも美味しかった!甘酸っぱいラズベリーがゴロゴロ入ってて食感も楽しく食べ応えがあった。
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