【28・初冒険のオワリ】
ギルマスの案内のもと、来たのは前と違って裏にそのまま出ると倉庫に連れて行かれた。ちなみに、おばちゃんは受付へと戻って行ったよ?
「ここなら、フェアリアルキャットもそのちいせぇ姿にならなくても良いだろ。元に戻っていいぜ」
「おや、そうかい?有難いねぇ」
ギルマスがそう言ってくれたので、私は嬉々として元のサイズに戻った。あー……楽だ。
「……それでだ。ブラックサーペントはどうだった?」
「え?あ、はい。居ました。結構なサイズでしたよ。…………出します?」
近くの椅子を引っ張り奥で別の解体作業をしていた人を呼ぶと、リューリを見て問いかけるギルマスにリューリは頷き、取り出すかと聞くとギルマスは出してくれ。というので、リューリはマジックボックスからズルズルとブラックサーペントを取り出した。
うーん。デカいと思っていたが、こんなにもでかかったか。改めて見る戦利品のブラックサーペントに満足感を感じながらもそんな事を思った。
「「…………」」
「あ、あのー……」
ブラックサーペントの氷漬け姿を見たギルマスと作業人の人は、口をあんぐりさせて固まってしまった。心配になったリューリが遠慮がちに声をかけるが、戻って来ない。
「はぁ……しっかりしな!」
「ハッ!す、すまねぇ。本当に狩ってこれるとは思わなくてだな……」
「………俺、ブラックサーペントを見るなんて初めてだぜ」
私が少し強めに声をかけると、慌てて正気に戻った二人は口々にそう言えば、口元を引き攣らせ笑った。
「この氷は解けるか?」
「ふん。造作もないよ。「ペキペキっ!ーーシュゥッーー……」………ほら、さっさとしておくれ。なるべく綺麗に仕留めたんだ。半端な値段付けたら承知しないよ?」
ギルマスに聞かれれば、あっさりと氷を溶かして脅かせば、ギルマスは隣に居る解体作業人に声をかける。
すると、その男はブラックサーペントをじっくり観察し始めた。
「これは、凄いですよ。氷漬けにしたおかげで外傷が少なく、鱗は綺麗で揃っている。初めてですが、知識はあります。任せてください!」
「あ、じゃぁ、解体お願いします。えっーと、肉の半分は僕達で、皮は冒険者ギルドと商業ギルドで半分ずつに分けてください。残りは冒険者ギルドで買取をお願いします」
「……商業ギルドまで話を付けてたか」
「ふん。せっかく高値で取引してくれるんだ。アンタら冒険者ギルドに独占させるより面白いだろう?」
「………やり手だな」
「ククッ…。そうでもないさね」
リューリの話に呆れた様子のギルマスに私は商売する気分になりつつ、気分よく笑った。
「あー……あと、ポイズンニードルの巣がありました。今回はアリアもやる気が無かったので、放置しましたけど、一応、気をつけてください」
「ポイズンニードルか………それ専門にする冒険者もいるから喜んで飛びつくだろうぜ。情報感謝する」
へぇー…アレを専門にする人まで居るんだ。私とリューリは図らずとも、顔には出さないが、二人してチベットスナギツネのような顔をしながら、その話を聞いた。
「……良し。報告は以上だな。フェアリアルキャット、ブラックサーペントの討伐感謝する。また、何か有事の時は手を貸してくれ」
あれから、報告書作成の為に色々と聞かれ狩った時の様子を聞かれたので、素直に答えたらギルマスは深々と深ーいため息をして頭を抱えた。
「………はぁぁぁ……。つくづく、敵対行動を取らないよう通達して良かったぜ。」
「ハハッ……僕も同感です」
リューリとギルマスがそんな会話をしている脇で毛繕いをしながら待っていた私だった。
「ちょいと、要件も済んだし、帰らないかい?」
「そうだね。では、ギルドマスター。後はよろしくお願いします」
「あぁ、そうだなぁ……3日後ぐらいに来てくれ。それまでには終わるだろ」
「はい。分かりました」
そんな会話をすると、私達は冒険者ギルドを後にして、ライヘン邸へと帰ったのだった。
「皆、ただいまー!」
リューリが元気にドアノッカーを鳴らすと出迎えたのは、リューリの両親だった。目に涙を浮かべ抱き締めてきたのは、やはり母親のイリスだった。
「「おかえりなさい」」
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