【12・ギルド続】
あの後、なんとか従魔登録を済ませると、ギルマスは咳払いを一つして、居住まいを正すと改めて話を切り出した。
「あー……せっかく従魔登録出来たんだ。何か依頼をしてみねぇか?」
「え?依頼ですか?それなら、下の掲示板の所から取りますよ?」
「いや、リューリ坊ちゃんにというよりフェアリアルキャットに依頼してぇだんだがな?どうだ?やってみねぇか?」
「アリアに依頼ですか……。どう?これから色々とお世話になるしやってみない?」
「ふぅむ……ったく、仕方ないねぇ。やってもいいけど、私をアンタら人間のゴタゴタに巻き込んだら容赦しないからね?」
ライヘン家にはこれから世話になるし、稼げるならちょうどいいけど、私を戦争とかの道具として利用しようなんてされたくない。そんな事したらライヘン家全員を連れてトンズラしてやる。
付き合いはまだまだ短いけど、悪い人じゃないし、そこら辺の連中より大事にしたいからね。
「もちろん、リューリを利用するのも許さないよ?」
威圧を込めて睨むようにギルマスを見れば、リューリは私を止めようとするが、主人で同じ異世界転生仲間なんだ。守れるなら守ってやるさ。
「っ……わ、わかってる。もちろん、冒険者ギルドとしてもその事を合わせて周りに周知させる。お前らに変なちょっかいをかけんじゃねぇってな」
へぇー……わかってんじゃん。てか、さすが、ギルマス。このくらいの威圧なんてあっさり乗り越えたか。
「ククッ……。 なら、その依頼とやらを受けてやるさね」
「そうか、そうか! よし! なら、ちょうどいいのを見繕っておく。しばらく時間くれ」
「仕方ないねぇ……」
話は終わりだとばかりに私はヘレンちゃんの膝の上に乗って丸まった。
「アリア、可愛い!」
ヘレンちゃんや、ここはせめてかっこいいって言って欲しかったよ……。とは思ったものの、本人に言えるはずも無く心の中で泣いた。
「はぁ……。なに、のんびりしてるの? 掲示板の依頼を見に行くよ」
「それもそうね! お兄ちゃん、私も行っていい?」
「ヘレンも? でも、危ないかもだよ?」
「アリアともっと一緒に居たいし、邪魔しないから!」
「……仕方ないなぁ」
「おう、そうしてこい。 小遣い稼ぎには丁度いいだろ」
ギルマスは兄妹の会話を聞いて私に頼む依頼を吟味する為の書類から顔を上げて、笑いながらもチラリと私を見てその視線の意味を知り小さく頷き返すと、膝から降りて扉の前へと向かった。
…………冒険者上がりの貴族の子供なんて、安全な街とはいえ何が起こるか分からないから、もしもの時は守れって事でしょ?もちろん、守るさ。
「……ほら、行くならさっさとしな」
私に声をかけられると2人は慌てて傍にきて、ギルマスにそれぞれ挨拶をすると、下に降りて掲示板へと向かった。
♢♢♢
一方、兄妹とアリアの居なくなった部屋でギルマスはそれはもう深い息を吐くと、その身をソファに深く沈めた。
「なんつー殺気だよ。しかも、ピンポイントで俺にだけ放って来やがった。久々に肝を冷やしたぜ」
あれが、フェアリアルキャットか……。昔見た時は、魔物を狩ってるのをチラッと見ただけだが、あの時だけでもその魔法の威力に度肝を抜かされたってのに、それが従魔ねぇー……。
「リカルドの奴のガキはとんでもねぇな……」
そう呟く彼の名はゲリオス。あのリューリの父、リカルドと母、イリスと共にパーティを組みSランク冒険者として活躍した過去を持っていたのだった。
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